エルサレムはイスラム教にとっても三大聖地のひとつとのことで、ウマイヤ朝が建てた立派なモスクがあり、境内のそこここにコーランの朗読会や学習会をする信徒グループがいたり、礼拝時刻になると異教徒は境内から退出させられる(建物内部にはもともと入れない)など、他のモスクより厳粛な雰囲気があった。
一方この場所はユダヤ教の聖地中の聖地でもあり、元来あったエルサレム神殿が破壊された上にモスクが建ち、ユダヤ教徒の最も聖なる岩を件のドームが覆っている。
神殿を壊したのはバビロニアとローマなので、傍目にはイスラム教のモスクがユダヤ教の聖なる岩を風雪から守っているように見えなくもないが、実際にはイスラム教徒も岩に独自の意味づけをして彼ら自身の聖蹟ともしており、破壊された神殿の壁そのままであるとされるモスクの外壁の一部に向かってユダヤ教徒が神殿喪失を嘆き、その中でイスラム教徒が礼拝し、さらにその全体をユダヤ人国家のイスラエルが管理するということになっている。
そんなややこしさを反映してか、厳かさや華やかさよりも重苦しさを感じさせる空気感だった。
@Jerusalem, Israel/Palestine
Mamiya G 1:4 f=50mmL (1989), New Mamiya 6 MF