花、昆虫、風景など

日常感じる季節の諸々を、花、昆虫、風景などを通じてアップしていきたいと思います。

国立能楽堂コレクション展

2008年11月30日 | Weblog
「能の雅(エレガンス) 狂言の妙(エスプリ)」というキャッチフレーズの下、奈良県立美術館に『国立能楽堂コレクション展』を観に行ってきた。
室町時代初期の成立以来、実に600年の歴史を経ていると言われる能・狂言の世界であるが、エレガンス・エスプリのルビには少々苦笑を誘われた。
もしかしたら何度か交通違反で捕まった若い役者を思い出したからかも知れない。

彼の生活そのものが狂言であるのかも知れない、そう思いながら展示品の数々を見ると、また別の感慨に包まれるのであった。
このカナのルビは、その為のものなのだろうか・・・。

能は面にしろ装束にしろ矢張りその重量感が見所であった。
もしかしたら相撲と同じで神への奉納が始まりだったのではないだろうか。
その装束の緻密さ、面の妖しさは「舞」をもって如何に感情を表現するか、神との一体化を図ろうとする舞手の苦悩が顕れているようでもあった。

狂言は庶民の芸という事であったが、それは装束にも顕れているようであった。
面の表情もオカメやひょっとこに通じるものもあったが、装束にも能の重厚感は見られなかった。
ただ、面はその表情に係わらず素晴らしい出来映えに思えた。

「幽玄」と「笑い」、「エレガンス」と「エスプリ」と対比して展開された「能」と「狂言」の展示であったが、これはどちらかと言えば、分けて貰っても良かったかなとの印象を持った。
能は能、狂言は狂言。
その方がもう少し見易かったかも知れないと思って帰ってきたのであった。