AVGO1062.9us$ 24/1/11木BX120.07$ MCHP84.17$

米国株BX119.62us$ AVGO1065us$ MCHP84.06(24/1/10水:現在

25/1/24金11:42_2030年に量子コンピューターはどこまで進化? 表面符号や量子メモリーの実用化が鍵

2025-01-24 11:42:07 | 米国株

2030年に量子コンピューターはどこまで進化? 表面符号や量子メモリーの実用化が鍵25.01.24松元 則雄様 野々村 泰香様記事抜粋< 2030年、量子コンピューターの分野で注目を集める技術は何か。最新の科学論文を分析した結果、4つのテクノロジーが鍵になりそうだ。

汎用的な量子コンピューターを実現するための技術開発が急速に進んでいる。写真は理化学研究所の量子コンピューター(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 量子計算機(量子コンピューター)のトップカンファレンスの1つであるQuantum Information Processing(QIP)の2024年の論文タイトルと要旨(アブストラクト)を解析した。2030年に向けて重要になりそうなキーワードは4つ。「Surface Code (表面符号)」「量子低密度パリティーチェック符号(QLDPC)」「量子メモリー(QRAM)」「量子ニューラルネットワーク(QNN)」である。

量子コンピューターに関する論文の俯瞰(ふかん)マップ。1点が1本の論文であり、同じような内容の論文ほど距離が近くなる。「VALUENEX Radar」で作成した(出所:日経クロステック)
量子コンピューターに関する論文の俯瞰(ふかん)マップ。1点が1本の論文であり、同じような内容の論文ほど距離が近くなる。「VALUENEX Radar」で作成した(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
俯瞰マップの解析によって浮かび上がった4つのキーワード(出所:日経クロステック)
俯瞰マップの解析によって浮かび上がった4つのキーワード(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

汎用量子コンピューターの実現

 2030年には量子コンピューターが実際に技術開発やビジネスのツールとして活用されるようになるかもしれない。現在、汎用的な量子コンピューターの実現に向けて研究開発が急速に進んでいる。

 汎用的な量子コンピューターを実現するために必要とされる技術は多い。その中の1つが、量子ビットの誤りを検出して訂正する「誤り訂正」だ。キーワードの中では、表面符号とQLDPCが誤り訂正に関連するキーワードとなっている。

 表面符号は、平面上に量子ビットを規則正しく並べて、複数の量子ビットを組み合わせてエラーを検出・訂正する方法だ。実用化に一番近いとされている超電導方式の量子コンピューターで広く適用され、最も研究が進んでいる。

 なぜ汎用の量子コンピューターの実現に誤り訂正技術が必要なのか。現在の量子コンピューターはエラー(誤り)が多い。例えば、超電導方式では、配線や外部の熱からのノイズの影響を受け誤りが発生してしまう。そのため、大規模な計算などには利用できなかった。

 誤り訂正は複数の量子ビットを使うことで誤りを検出、訂正できるようにする。こうして誤りから守られた量子ビットを「論理量子ビット」と呼ぶ。ちなみに、元となる「素」の量子ビットは「物理量子ビット」と呼ぶ。

 論理量子ビットで構成された誤り耐性のある汎用量子コンピューターが「Fault-Tolerant Quantum Computer(FTQC)」だ。FTQCについてデロイトトーマツグループで量子技術統括を務める寺部雅能氏は「当初は2050年頃と予想されていた実現時期が、2030~2040年頃に早まりそうである」と話す。

 きっかけは米Google(グーグル)の2023年の発表だ。同社は表面符号の拡大で量子エラー訂正をスケーリングできることを実証した。従来の物理量子ビットは増やせば増やすほどエラー率が高くなっていたが、同社は表面符号を使って論理量子ビットを増やせば、エラー率を小さくできることを示した。

 実はグーグルの発表の少し前から量子コンピューターと表面符号を結びつける研究は盛んになっていたようだ。医学・科学技術関連の論文誌の出版で世界大手のオランダElsevier(エルゼビア)の日本法人の協力を得て、論文データベースで量子コンピューターと表面符号の両方に関連する論文の数を調べたところ、2012年頃からゆるやかに増加。2022年には2021年と比較して約2倍と論文数が急増していた。

量子コンピューターと表面符号に言及する論文が2022年に急増している(出所:エルゼビアのデータを基に日経クロステックがグラフを作成)
量子コンピューターと表面符号に言及する論文が2022年に急増している(出所:エルゼビアのデータを基に日経クロステックがグラフを作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 表面符号の課題の1つが論理量子ビットを実現するために、多数の物理量子ビットを必要とする点だ。「当初は1つの論理量子ビットの実現のために1000個の物理量子ビットが必要とされていた」(寺部氏)。そこで物理量子ビットの数を抑えて誤り訂正を実現する方法が出てきている。

 その1つがQLDPCだ。LDPC(低密度パリティチェック符号)は古典コンピューターの世界でも使われている誤り訂正符号の1つ。QLDPCはそれを量子コンピューターに拡張したものだ。最近、量子ビット数を抑えた高効率のモデルが発見された。

 さらに量子の重ね合わせの状態を利用して1つの実量子ビット内で多状態を表現し誤り訂正を行う「ボソニック符号」にも注目が集まっている。

この記事は有料会員限定

現在のPV数 5PV

現在の順位 1556

    アクセスされたページ
    アクセス元ページ


    最新の画像もっと見る

    コメントを投稿