EV電池発火10の疑問、TeslaのEVトラック消火に19万リットルの水久米 秀尚様記事抜粋<リチウムイオン電池はなぜ燃え、危険性をどう封じ込めばいいのか――。専門家に「10の疑問」をぶつける記事の後編
自動車メーカーの技術者や車載電池の品質・安全試験を手掛ける企業などに取材し、電池の安全性向上について整理する。電池業界に35年以上身を置く米24M TechnologiesでPresident&最高経営責任者(CEO)の太田直樹氏には、発火防止の要となる次世代セパレーターについて聞いた
Q6:燃えてしまったら?
「熱暴走したらもう、手が付けられない」。こう話すのは、電気自動車(EV)用電池の開発を担当する日系自動車メーカーの技術者だ。前編でも説明したが、電池は短絡(ショート)すると発熱し、その発熱によって正極が熱分解される。すると、正極が蓄えていた酸素(O2)は放出され、燃焼を促進させてしまう。
短絡を防ぐ根本的な方策は「Q9」「Q10」で解説するが、その前段階として燃えてしまった単体の電池セルの影響を抑え込むことが喫緊の課題となっている。
熱伝播(でんぱ)をどう抑えるか――。発火した電池セルの熱をすぐ隣のセルに伝わらないようにするのは「相当難しい」(電池試験を手掛けるエスペックの執行役員兼テストコンサルティング本部長の渕田健二氏)。熱伝播を抑制する技術のニーズは高まっており、セル間に難燃性の発泡材料を充填したりセルの温度変化を緩やかにする蓄熱材を配置したりする提案がある。
Q7:消火技術は?
基本的には「火が消えるまで待つしかない」(24Mの太田氏)。米Tesla(テスラ)のEVトラック「Semi」が高速道路で炎上した事故では、5万ガロン(約19万リットル)もの水を放水して消火した
米カリフォルニア州の高速道路で燃えた米Tesla(テスラ)のEVトラック「Semi」
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