Pay green's respects

　一人の男があるクラブを去る時サポーターにこう言った。
「俺、もっとサッカーしたいんですよ！」
　そして、男は、その年J2に上がったばかりの深緑のユニフォームに袖を通した。
　けれど、彼は不慮の死を遂げてしまう、志半ばにして……。

　けれど、懸命に雷鳥は頂を目指した。
　それは、志半ばでこの世を去ってしまった彼との約束だから。
　昇格請負人としてやってきた監督は前は黄緑と青のユニフォームのクラブで、11年振りのJ1昇格を決めていた。
　そして、その弟子であり、彼のあとに監督になった男は、就任1年目でJ1昇格を決めたものの、昨シーズンはJ1で善戦するものの、最後の最後で降格が決まり、J2に戻ることとなった。
　再び、交わる事が無かった師弟が、再びここで出会った。

　そして2014年J2開幕。
　黄緑は開幕以来14連勝という記録を打ち立てたのち暫く調子を崩さなかったものの、秋になって調子を崩してしまったが、艱難辛苦の末、9月に黄緑が昇格を決め、そして、10月には優勝を決めた。
　一方の深緑も順調に勝ち点を積み重ねて行く。それから、黄緑の優勝から2週間後、深緑は「雷鳥は頂をめざす」。この言葉の通り、J1昇格を決めた。
　一人の男の思いが、サポーターとその男との約束が、ようやく、身をむすんだ。
「マツ見てるか？
　あんたが、サッカーしたかったクラブがようやくJ1に上がるよ」

　苦しい山を乗り越えた雷鳥が、凄まじい風と波が来年J1を楽しくしてくれるに違いない。だから、スタジアムへ行こう。サッカーを見に。サッカーを楽しみに。

　そして、最後の昇格の椅子を争う戦いが始まる。
　最後に笑うのは、誰だろうか？