あべっちの思いをこめた雑記帳

蝉の鳴き声を聴きながら

 皆でゆっくり昼ご飯を食べているとき、静けさに水を増すように一匹の蝉の鳴き声が聴こえた。そのとき私はなんだかこの夏初めてとはいわないが、久しぶりにその声を聴いたような気がした。

 「珍しい。蝉の鳴き声を久しぶりに聴いたね~」
 「ほんとだね~。最近あまり聴かないよね」
 「私の家のまわりなんか、昔はずいぶん鳴いていたけど、今年は全然聴こえない」
 そんな会話が続く。

 私はまるで自分の思いを一緒に会食したその仲間たちが代弁しているかのような錯覚に陥った。
 そして、その会話の中に私も入っているとさえ思ってしまった。


            「つれづれ(76)蝉の鳴き声を聴きながら」

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