花の美しさって、その姿だけなのかなと思う。
ひとりで咲いているのか、仲間と一緒に咲いているのか。
花たちだけで咲いているのか、まわりの雰囲気と調和して咲いているのか。
紫陽花を見ていると、いずれも後者の方だなといつも思う。
原産地は日本。
だから、お寺には似合うんだろうと一人で納得してしまう。静かなたたずまいの中に、淡青紫色の花は実に美しい。雨に打たれながらもひたむきに咲くその姿は、宝石のような花色とともに、私たちの心にあざやかに焼きつく。
花言葉の「ひたむきな愛情」も、この花にはぴったりだ。
万葉集に「あぢさゐ」と記してあるところをみると、その時代からすでにこの花は存在し、歌意からも花の特徴をよくとらえた、「いつまでも偲んでいたい」という作者の心がうかがわれる。
この花を見ていると、日本人だなと今さらながら思う。
この国に生まれたことのありがたさを感じる。
紫陽花は日本で生まれ、日本で改良され、世界中に広まった、外国に誇る数少ない貴重な植物。江戸時代末期にヨーロッパに渡り、日本に逆輸入された経緯があり、その時に鉢花用に改良されたらしい。
花の色の変化により、逆にその土地の地下の構造を専門家は知るという。
日本女性は七変化にはなってほしくないと思うけれど、紫陽花のわかる人であってほしいなとは思う。
この花を見ていると、私のぜいたく心がまた出てきてしまう。
「季節の花(45) 紫陽花は宝石のような花色」