わが家にある赤い可愛い花といえば、昨年咲いていたのでは、縷紅草、ミニバラ、ペラルゴニウム、コスモス、マツバボタンとすぐあげられるが、一番はというとこれがなかなかむずかしい。
でも、今のところは、ゲンノショウコであろうか。
淡紅色の小さな花が昨年は10月になって咲きだした。
わが家で秋に咲く一番可愛らしい花といえば、やはりこれだろうか。なにせ直径1cmくらいしかない、それはあまりにも小さな山野草だ。多年草で、花は普通は2個ずつ対になってつく、実に美しい姿だ。葉の先端に特徴があり、3~5片に分かれている。
種はさやの下部についていて、熟すとさやが5つに分かれ、それぞれの裂片が上方に一気に巻き上がる。この時の勢いで種を飛ばすものだから、翌年思わぬ所に咲き出すことが多い。お陰でわが家もあちこちに咲き、疲れた目にやすらぎをもらっている
。
果実のはじけ方がほんとうに面白いまでに飛ぶ。さやの裂片が巻き上がった状態を祭りのみこしに見立てて、みこし草という別名がある。
開花の頃に花ごと茎葉を採り日干しにしたものは、下痢止めの民間薬としてよく知られる。
薬効が速やかに現れるものだから「現の証拠」という名が付いたらしい。
来年はまたさらに増えるのだろうとは思って、種子が飛んでどこに咲き出すのかが楽しみな花であった。でも今年はどこにも見当たらない。飛びすぎて、どこか遠くまで行ってしまったのだろうか。
今年は他の赤色も、手入れをサボったのか、ほんの気持ち程度しか咲いていない。
「季節の花(11) 現の証拠が今年はどこへ」
写真は昨年10月撮影