直立不動でまっすぐ立っている。天を指すように、これほどピンと咲く花も、他にそうはない。
茎もかたく、中に針金でも入れてあるのかなと思ってしまうほど。
ニラの花は、ひときわ目立つ。
肥料をあげなくても大丈夫。少しくらいの寒さでも、雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにもへっちゃら。
そのうえ人間さまの食用として、今や人気のある栄養源。餃子に、炒め物に、スープに。大好きな野菜のひとつだ。
けれど、たくさんあるにもかかわらず、わが家ではここ数年一度も食していない。夏から秋にかけての紫がかった白色の花が見たいからなんだというのが本音。
この花はやや離れて見るのがいい。
ちょっと控えめで、小さな花がいくつもつつまれた咲き始め。茎の間から顔を出して伸びてくる花茎。
食用にしてしまうのはあまりにも惜しい気がしてならない。
野菜の花を見るために栽培しているなんて知ったら、都会の人はなんて思うだろうか。
でも、この風情から元気をもらっている。
食べるのは全部スーパーから購入。そして、しっかりと胃の中へ落としている。
足許にゆふぐれながき韮の花 大野林火
(あしもとにゆうぐれながきにらのはな)
「季節の花(48)韮の花」