わが家には千両(センリョウ)はないけれど、万両はけっこうの量だ。名前だけ聞いたらいかにも大金持ちの感じがする。
万両は正月の縁起木として昔から親しまれてきた。赤い実は枝の下の方に垂れさがるように付く、ヤブコウジ科の常緑小低木。枝の先端、葉の上に付く千両とは明らかに見分けがつく。その実が千両にまさるということから命名されたようだ。赤い実と呼ぶよりも、むしろ珊瑚色と呼ぶほうが向いているのかもしれない。
どちらも正月の床飾りには縁起のよい花材とされるが、千両はセンリョウ科に属し、万両とはまったく別種である。
半日陰を好み、乾燥をきらう。10~5月くらいまで楽しめる、比較的やさしい花木。簡単な気持ちで、お金持ち気分が味わえるから、家の隅に植えることをおすすめしたい。お正月にはもってこいの縁起のよい植物である。
万両に日当ることのなかりけり
大橋越央子
「季節の花(37)万両はお正月の床飾りにピッタリ」