あべっちの思いをこめた雑記帳

旅への思い

 いい旅をしたい。
 旅を楽しみたい。
 旅の好きな人はみんなそう思っている。たとえその中身は違っても、結果として求めるものは同じだと思う。

 旅に出た時の新鮮な目で、物事や世の中を見る。自分の知らない世界を知ることができる。旅先での人との出会い。そういうことが旅のもつ楽しみの大きな要因だと思う。

 若い頃から全国あちこち出かけた。海外にもけっこう出かけた。しかし年齢を増すごとに、最近はその海外どころか、国内の遠くへさえも行くことが少なくなってきた。
 というよりも、自分の住んでいるこの国をもっとたくさん深く知りたいと思うようになってきた。以前は旅というと遠くばかり見つめていたような気がするが、この歳になってやっと身近な所にもよいものはたくさんあることに気づいた。

 海外を旅していると、日本のさまざまなものが恋しくなる。食品やその味付け。人や言葉や町並みや自然や歴史。他にもたくさん。
 つまり日本の美しさに気づかされる。もっと端的に言えば、日本という国で生きてきたことにつくづく嬉しさを感じる。日本に生まれ、日本人てして生まれたことが今さらのように幸せだと感じるようになる。

 狭い日本といわれるが、そういう視点からとらえれば、この国の知らないことはまだまだ多い。心にしみる感動や思い出や出会いがあるから旅はいい。だから、身近な旅も大切にしていきたい。
 その気持ちはこの先ずっと変わらないだろうと、この歳になってしみじみと思う。

                    「心に残る旅(31)旅への思い」

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