この町に来たら、寄りたいところが二つある。表向きはお墓参りなのだが、裏の目的はたぶんこの二つ。
道の駅さわら。
ここはオープンしてからすぐ来ているから、もう19年も通っている。佐原は以前は来ることは少なかったが、最近では春夏秋冬のうち、年3回はほぼ訪ねることにしている。
それは50年前くらいからだから、数えただけで気が遠くなる回数。
この道の駅で何よりうれしいのは、野菜が豊富で安いこと。新鮮なのはいうに及ばない。秋になればみょうがは必ず買って帰る。
そしてここから見る利根川の絶景。
売場が狭いのは難点だが、おいしい野菜などの恩恵をこうむっているので、文句は言うまい。
でも目的の一番は、市内のとあるうなぎの専門店である。ここのタレは秘伝というだけあって絶品だ。店内は古く、サービスも決してお世辞にも良いとはいえない。料金も安いというには苦しい。けれどここのうなぎを一度食べた後は、どこのを食べても、この店と比べてしまう。
他のうなぎ店はもちろん、香取市内の食事店をいろいろ食したが、ここの味のレベルには達しないというのが現実だろう。最近もたっぷり買物をして、たらふく食べた。
お墓参りをダシに、うなぎ目的の佐原とは、故人が知ったらきっとお説教のことだろう。いくら、故人をしのぶ供養と言っても、はたして聞き入れてくれるかどうか。
○○に口なしとは、よくいったものだ。でもこの場合は、それはあてはまらない。
もし口があったら、個人が一番食べたがるだろうから。
「心に残る旅(42)佐原」