歌手、さだまさし(69)が21日、セルフカバー集第3弾となるアルバム「さだ丼~新自分風土記III」を発売した。日本のソロ歌手として最多となる、4400回を超えるコンサートを開催してきたさだも、新型コロナウイルス禍で、一時はライブの中止や延期を余儀なくされた。だがコンサートの“トップランナー”として、知見に基づき、いち早くツアーを再開したのもさだだ。ライブもそう、そして今回のアルバムもそうだが、「今のさだを聴かせたい」という思いに満ちている。(産経新聞 文化部 兼松康)
コロナ禍の第2波のピークから、まだ日も浅かった昨年9月1日。埼玉県川越市で、さだのツアー「存在理由~Raison d’?tre~」が始まり、ライブが再開された。無観客の配信ライブを除き、2月以来となるコンサートだった。
「1人でも感染者が出たら即座に中止」-。強い覚悟を持っての再開。3会場は中止となったが、残る41本のコンサートを乗り切った。「いつもは取れないチケットが取りやすかった」と初めてさだのライブを聞きに来た客も、いつもよりかなり多かったという。
さだが設立した公益財団法人「風に立つライオン基金」での活動で、「感染症の専門医とリモートで話す機会が何度もあり、何が怖いのか何が危険なのかをあぶり出せた」という。
「感染者が1人いれば、5人の集まりでも危険。だが1人もいないのなら3万人が集まっても大丈夫。警戒することは大事だが、そこに気を取られすぎると何もかもが止まってしまう」
こうした考えが、信頼度の高い運営につながった。いつもは満席ぎっしりのさだのライブ。今回のツアーでは客数を制限したこともあり、商業的な採算ベースで大成功とはいかなかったが、コロナ対策は大きな“成果”といえる。
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