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宇宙から還りし王第3回「リーファーだよな」 ケインは呼びかける 「俺だ」リーファーの顔と、「始祖鳥の体」を持つ生物は「ここを立ち去れ」と警告する

2019年12月31日 |  宇宙から還りし王(山稜王改題)
UK宇宙から還りし王(ハーモナイザー01)■新宇宙への門「タンホイザーゲイト」から帰還したネイサンは、ゼルシア国自然保護ラシュモア山で王国を建設。自から発する言葉で、人類を次の高みへと進化させようと。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1598de/3/
 
宇宙から還りし王第3回「リーファーだよな」 ケインは呼びかける 「俺だ」リーファーの顔と、「始祖鳥の体」を持つ生物は「ここを立ち去れ」と警告する。
 

宇宙から還りし王(山稜王改題)第3回

(1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 マンガ家になる塾」

 

 羽音がする。すでにまわりは霧に包まれていて、目の前の山壁し

かケインの眼にははいっていない。

 飛行体。一体何だ。鳥がこの壁に巣でも作っているとでもいうの

か。

 巨大な物体が、ケインの頭上を通りすぎた。空気の振動がケイン

の体に伝わってきた。

 

 『ケイン、ここから立ち去れ、お前の目的はわかっているぞ』

 ケインの心の中に、直接、声が響いてきた。さらに心の声は続け

る。

 『俺は警告しているのだ。これ以上、もう登るな、これ以上登れば、

俺もお前も、もう後もどりはできない』

 

その心の声にケインは記憶から何かを思いおこさせた。

 「お前はりーファーじゃないのか」

 

 思わずケインは羽音のした方へ叫んでいた。

 「お前生きていたのか」

 再び、羽音と空気振動がケインの体に近づいてくるのがわかった。

 

『ケイン、俺の今の姿を見せてやろう、そうすれば、お前も、考え

直すだろう』

 翼の音が壁の上の方で止まった。ひたひたと垂直な壁をすべるよ

うに何かが降りてくるのが、ケインに感じられた。

 

 「ケイン」

 

 そいつは霧の中から姿を現わし、ケインに話しかけた。ケインは

思わずロープから手を離しそうになる。この化物は。本当にりーフ

ァーなのか。

 「リーファー、お前か」

 「そうだ、俺だよ」

 そいつはりーファーの顔と、「始祖鳥の体」を持っていた。

 そいつは言った。

 「ケイン、悪い事はいわん、戻れ。これは友人としての意識が戻っ

ている俺の、最後の警告だ。俺というりIファーの意識がなくなれ

ば、俺の体は勝手に動き、お前を地面にたたき落さなければならん」

 

 「リーファー、一体、何なのだ。どうしたのだ」

 リーファーの顔を持つそやつは、答えず、羽音をたてて急に飛び

去っていく。

 ケインは、しばらく、呆然として、その壁の上で動かないでいた。

(続く)

■宇宙から還りし王(山稜王改題)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 「マンガ家になる塾」

 

宇宙から還りし王(山稜王改題)第3回

(1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 マンガ家になる塾」

 



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