なみだ石の伝説第5回■最終回この地球に取り残された。 癒される事のない寂しさ。 私は、なみだ石を握り締め、今までの2000年分の自分の歴史を思った。 . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回■最終回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第5回ー最終回
私が目をあけると、ヘリはすべて夜空から消えていた。
残滓が飛び散っていた。
滝は、滝であった生物は、緑色の光を櫛びた物質に変化していた。
私は草原に腰をおろし、涙岩をながめて . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第4回
人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。
その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、
漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。
今日がその日だ。
「君も芝居がうまいね、日待クン . . . 本文を読む
染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
「ええ」僕は答える。
「そうですか.僕、この路線走るのは始めてですねん。ふだんでも,このバスは,ほとんど頭屋村までいかんのですわ。
最近は、客が、よういってるようだけど。本当は、これより先はいかんのなあ。いやだなあ」
「バス停には、頭屋村まで通じてますの地図と張 . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第2回
僕は、いま 1975年ー昭和50年ーの思い出の中にいる。
正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。
東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。
特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。
なみはずれた長身、それにど . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
僕達2人は、乗りごこちの悪いローカル線に乗っている。
列車は。僕の故郷に向かっていた。
故郷といってもあまり記憶はない。親戚もいない。
僕は都会の中で一人、孤独で何年も住んでいた。
あるきっかけで故郷へ帰ろうと思った。
奈良県、和歌山県、三重県の3県の県境にあるふるさと。 . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回
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作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第4回
人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。
その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、
漆黒の闇の中へ . . . 本文を読む
僕は、乗りごこちの悪いローカル線に乗り、故郷に向かっていた。故郷での記憶はない。親戚もいない。僕、日待明(ひまちめい)は頭屋封へ、何年もの町中の生活で得た悲しみ、体の中にたまりすぎた汚れを、洗いおとすために帰る」とはじまります。 僕、日待明(ひまちめい)は頭屋封へ、何年もの町中の生活で得た悲しみ、体の中にたまりすぎた汚れを、洗いおとすために帰る。苦しみは僕の体をむしばんでいるのだ。&nb . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回■最終回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第5回ー最終回私が目をあけると、ヘリはすべて夜空から消えていた。残滓が飛び散っていた。滝は、滝であった生物は、緑色の光を櫛びた物質に変化していた。私は草原に腰をおろし、涙岩をながめていた。手になみだ石をにぎりしめていた。 リーラが私の側まで歩いてきた。 しばらくだまって私をながめていた。 「さっき、パ . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第4回人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。今日がその日だ。「君も芝居がうまいね、日待クン。いや本当の名前は何というのかな」ふっと滝は鼻で笑いながらいう。しみじみと、僕を馬鹿にしている。でも僕は理解でき . . . 本文を読む
染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 「ええ」僕は答える。 「そうですか.僕、この路線走るのは始めてですねん。ふだんでも,このバスは,ほとんど頭屋村までいかんのですわ。最近は、客が、よういってるようだけど。本当は、これより先はいかんのなあ。いやだなあ」「バス停には、頭屋村まで通じてますの地図と張り紙がったぜ」 滝がいいかえす。 「ここからは道が、 . . . 本文を読む