「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第5回■最終回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第5回ー最終回
私が目をあけると、ヘリはすべて夜空から消えていた。
残滓が飛び散っていた。
滝は、滝であった生物は、緑色の光を櫛びた物質に変化していた。
私は草原に腰をおろし、涙岩をながめて . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第4回
人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。
その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、
漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。
今日がその日だ。
「君も芝居がうまいね、日待クン . . . 本文を読む
染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第3回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
「ええ」僕は答える。
「そうですか.僕、この路線走るのは始めてですねん。ふだんでも,このバスは,ほとんど頭屋村までいかんのですわ。
最近は、客が、よういってるようだけど。本当は、これより先はいかんのなあ。いやだなあ」
「バス停には、頭屋村まで通じてますの地図と張 . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第2回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
第2回
僕は、いま 1975年ー昭和50年ーの思い出の中にいる。
正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。
東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。
特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。
なみはずれた長身、それにど . . . 本文を読む
オーストラリアピアソンの日本語教科書本です。山田企画事務所と作家の石田雅也が、協力してマンガ部分を作らせていただきました。
協力者名を英語で表示。2枚目の写真真ん中のあたりです。
本日、オーストラリアから到着。
本のタイトルはいいとも(iiTOMO)です。 . . . 本文を読む
「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第1回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
僕達2人は、乗りごこちの悪いローカル線に乗っている。
列車は。僕の故郷に向かっていた。
故郷といってもあまり記憶はない。親戚もいない。
僕は都会の中で一人、孤独で何年も住んでいた。
あるきっかけで故郷へ帰ろうと思った。
奈良県、和歌山県、三重県の3県の県境にあるふるさと。 . . . 本文を読む