ザ・ゲーム(1979年作品)第11回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
「つまり、則夫を俺が殺せというわけかね」
「そう、そうよ。そうすれば、南条家の全財
産は私達のものよ」
【残念ながら、。俺は傭われているんだ。今】
「誰に」
「あんたんとこの則夫にね」
「何ですって」彼女ほ甲高`い笑い声で笑った
「お笑い草ね。あの子にですって、どうかし
てるわよ。あなた」’
「あのね。お宅にはお金の事しか七の美しい
頭の中にはないのかな。俺は知っているんだ
ぜ。君が南条安夫、つまり自分のだんなを殺
したことも、そして恐らく、南条剛造をも殺
したことも」
「それ、則夫が言ったの」
「そうさ。ひどい話さ。則夫に、君は自分の
父親を殺させたらしいな」
「あの子を殺して。お願いだから。殺して、
七うしなければ必ずあの子は私に復讐するわ
洋子の表情が異形になっていた。ヒステリー
状態だ。
「たぶん、そうだろう。七のために彼はここ
まで来たんだからね。それに俺は確かめたか
った。君が本当に俺を犠牲にしようとしたの
かをね。しかし、もうわかった。君は、昔の
俺がほれていた当時の君じ夕ないって事をね
「あなた、何、子供みたいな事を言っている
の」
「ねえ、洋子、男はいつも夢を見ていたいん
だ。子供の心をいつも持っているんだよ。君
への慕情が、俺が君を殺さない唯一の理由な
んだ」
顔色の変った彼女はデリンジ″-をポーチ
から取り出していた。俺の体に押しつけた。
「行かせないわ。あなたも私と一緒に死んで
もらう」
「あI。夢のない女だね。あんた」
「一人じゃ私は死ねない。私の夢はもうすぐ
実現可能だったんですもの。則夫さえ生きて
はいなければ。西さん、男と女とでは夢の種
類が違うのよ。このトリッガーをひけば私は
夢の中で死ねるわ」彼女は涙を流七ている。
爆発音がした。俺は一瞬気を失なっていた。
気がつくと俺は潜水艦の中に横たわってい
る。則夫がテレポートしてくれたらしい。
「だめじ夕ないか西君、相手の。へIスにまき
込まれぢゃ」則夫はあきれ果てた顔で。いった・
「あの女は君を殺すつもりだったんだぜ。も
ちろん自分は助かるつもりさ」
「すまん、すまん、俺はやはり女には弱い」
「まあ、あの話の内容で君が信頼できる男で
あるとわかったけれどね」
「俺をテストしていたわけか」
「そうだ。・これからは僕のパートナーだから
ね。南条財閥の金は総て僕の物さ。しっかり
頼むよ。ポデ4ガード君」
「が、まだあんたの義母が残っているぜ」
爆発音が響いてきた。
「大丈夫さ。潜望鏡をのぞいてごらん」
クルーザーがまっ二つになり、火柱を上げ
沈んでいく。
「これでおわかりだろう」
「ああ、もったいない話だな。あれ程の美貌
を持ちながら花と散るか」
「七れどころじゃないよ。依頼主からの仕事
が待っているよ」よ。
「どこへ」
「アフリカさ」
「アフリカか、一度は行って見たかった」
俺はソビエト製の潜水艦の潜望鏡をアフリカがあると思われる方
向へあわした。しかし、どこまでも続く海原と星空が
あるだけだ。
ザ・ゲーム(1979年作品)第11回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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終わり