封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第11回●●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所
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本が風化するのと同時に、コードの中の,北の詩人の体も消滅した。
アー・ヘプンはその一瞬、産声を聞いたような気がした。
その機械共生体も、外気にふれて腐触し、機械パネルははじけ飛び、粉々に分解していく。
が本がやヽその背後の機械共生体がくずれ去った後,内壁中央部に光点が残っていた。
光点はアー・ヘブンの方へ移動してきた。
球体には、ぎっしりと古代の本が積まっている。
その球体からは、強烈な激怒のイメージが、アー・ヘブンに注がれていた。
それが「天宮」だった。
アー・ヘブンは「天宮」に話しかけている。「天宮」の過去の名前で。
「地球意志よ、寂しかっただろう」
「地球意志? 太古の、私の、名前を知っている、お前は一体……」
「そう、「天宮」いや、地球意志よ、君が考えている通りだ」
「つまりは、ハーモナイザーの手先というわけか」
「正確にはそうではない。ハーモナイザーの意識の一部という方が、いいだろう」
「なぜ、私の所へ来た。私地球意志の宇宙に対する復讐の理由を探りに来たわけか」
アー・ヘブンは、天宮=地球意志、の意志の強固さ。その意志の持つ邪悪さに、思わずたじろいた。
「やはり、君は、宇宙に対して、復讐を考えていたわけか」
「そうだ。私はハーモナイザーのおかけて、「地球人類」という、
かけがえのない財産を奪い取られたのたからな。それに君は、私のデータベースも破壊した」
「まだ、わかっていないのだな、地球意志。
ハーモナイザーは君から地球人を奪いとったわけではない。彼ら、地球人類は、自らの意志て君から離れたのだよ。
地球人類は宇宙の意志という大きな思念のために出かけていったのたよ」
アー・ヘブンの意識は、ハーモナイザーと一体となる。
「ハーモナイサーの手先としてか」
「手先?、そういった問題ではない。地球人類はひとつの思考形態としてより進化したといえるだろう。
かつては地球人類という小さな枠で、物を考え、自分達の能力を使っていたが、ハーモナイザーの意志により、彼らは同調したのだ。
君、つまり地球意志より、より大きな意志のためにね」
「ハーモナイザーよ、いくらくりかえしてもしかたがない。ハーモナイザー、君が私から人類を奪い去った事に変わりはない。
あまつさえ、私にこの鋼鉄の鎧を着けさせてその上に監視員をおき、彼ら監視員を進化させた」
「そう、彼ら新機類は、君、天宮=地球意志を、監視するために存在し、生命球がすへてを
統禦していた。
が新機類や生命球は君が滅ぼしたのだろう」
「そう、それが、宇宙に対する、ハーモナイサーに対する私の復讐の手始めだ」
生命球は、アー・ヘブンのソウルブラザー、同類の意識体だった。
生命球も、ハーモナイザの個性群体の一つだったのだ。
「ハーモナイザーは、君、地球意志の行動を観察していた。
君があるいは新しい精神構造を持ち始めて、ハーモナイザーの考え方に同調するかもしれない、と思ったのたよ。
がそれは残念なら、期待はずれだとわかったわけだ」
「それて、わざわざ、このシャフトまで降りてきて、私を滅ぼすわけか」
天宮=地球意志の声、はあくまで冷たい。
「地球意志よ。最後のチャンスだ。君の思念を我々と同調させなさい。それがすべてだ」
「答えはノーだ」
「わかった」
天宮=地球意志は、何かの信号を送りだそうとしていた。
間髪を入れず、アー・ヘブンは、第3触手をのばし、天宮=地球意志をにぎりつふそうとする。
天宮の中身は、聖書、仏典、コーランなど地球の宗教書・哲学書、地球人類の遺産の書類とイメージーコーダーが包含されていた。
この宗教書こそが、天宮=地球意志のアイデンティティーだった。
存在価値のすべてだ。
アー・ヘブンの第3触手の握力で、天宮の外壁がはじき飛び、本の数々がバラパラに吹き飛び、破片は大気へ散っていった。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第11回●(1987年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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