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遙かなる絆-ランナー第3回

2015年01月30日 | 遙かなる絆-ランナー
遙かなる絆-ランナー第3回
(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」

第3回
● 月の裏側を探査中のサー=ヘンリー=ビショップ教授の隊が、ピラミッドを発見したのは、2036年3月のことだった。

 場所は、アムラークレーターの内郎であり、このピラミッドが『月の一歩』以来、発見されなかったのは不思議だった。月の裏側を撮影した過去の写真には、まったくそのビラミッドは映っていなかった。
 
ピラミッドの解析が行なわれた。ピラミッドは、エジプト・ギゼーのピラミッドとまったく同一構造であり、構築後、五千年と推定された。内部への情報機器の侵入は不可能だった。ピラミッドがまるで結晶体のようであったのである。
 
月植民地ルナ=シティは、地球連邦軍に、このピラミッドの管理を依頼した。なぜなら、このピラミッドを発見したサー=ヘンリー=ビショップの隊全員が、帰りの宇宙船内で変死をとげたからである。

 以降、アムラーリピラミッドは連邦軍の管理下におかれた。常時、数十名の連邦軍兵士がこのビラミッド近くに駐在することになった。

2036年4月

正体不明の電波が、月のアムラーピラミッドに送られた。

連邦軍の電波探知機がこの信号をキャッチした。

この信号は、さらにEDOの言語解析班に回された。

解析班のチーフであるツェン博士は、この信号を解析中これとよく似た構文を若い頃に解析した記憶が蘇ってきた。その文章は古代サンスクリット語であった。

文章の主旨は「トーチは用意された」である。

 EDOの情報脳から、2016年3月に入力された金属片の情報脳が呼びおこされた。

 EDOは俄然、色めきたった。かっての金属片実物がEDOの地下金庫からひきだされたが、金属片の情報部位はあとかたもなく消滅していた。

「トーチ」とは何か?

それが何らかの異変をこの地球連邦に及ぼすであろうことは予想された。

 EDO長官、オットーは、非常事態宣告をした。

いわゆる「0号」指令である。

 連邦軍対テロリスト局、フリッツの元にもその指令は届いた。フリッツは、秘書を呼び出した。

「今、サムナーはどこにいる?」

「現在、サムナーはプランクトン=シティで行動中です」

「わかった。サムナーをその仕事からはずし、至急、私の所に出頭させろ」

ジャック=サムナーは、対テロリスト局きってのエリートであった。

彼は外惑星型サイボーグであり、局きってのテロリスト=ハンターとしての名をほしいままにして、ニックネームは「片目のジャック」であった。

彼の片目はレザーアイである。


 南太平洋上、‐オセアニア海域に遊才するプランクトン=シティは、地球財団が管轄管理するレジャーランドであった.

このプランクトン=シティに出入りできるのは、地球連邦のα六千三百級以上の上級市民であり、下級市民はこの市を「虚栄の都市』と呼んでいた。

市はナイトクラブ、カジノなど享楽の施設で満ちあふれ、人類がかって味わったことのない歓楽郷である。

そのプランクトンシティを超テロ集団「フイダイ死の天使」が、       
目をつけたのだ。要求に応じなければ、市ごと、上級市民を抹殺するという。

サムナーの今の仕事はこの市の監視であった。そのサムナーに「O号指令」が下った。

「今更何をいってやがる」

 頭に来たサムナーは、その無線装置をたたきつぷした。

かくて、後の宇宙史で、「ランナー」伝説と呼ばれる事件と役者がそろった。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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