デュエット(二重走)第11回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ
合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。
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ソビエト人の研究者であるシモノフことKGBアレクサンドロフ少佐
に乗っ取られた氷船ザイード号は
マルディブ諸島を目指して航行している。
応接室に閉じ込められたハーリマッド王子と四郎はテレパシーで会話を行なっていた。
近くに見張リが立っているが、二人とも押し黙っている様に見える。
『シンベル少佐は本当に死んだのだろうか』
『わからん、ずっと、呼び続けているのだが反応がないのだ』
『潜水艦内を観察できないのですか』
『どうやら、対超能力妨害バリヤー装置を使っているようだな』
マルディブ諸島の島影が見えてくる。
『四郎、また、協力してくれるか』
『わかりました』
『今、ちょうどこのブリッジの上空を飛んでいるヘリがあるだろう』
四郎は透視する。
『ああ、ザイード号の艦載機体の一つですね』
『あのヘリの下部に爆弾が装備されているのが透視できるだろう。
あれをこの艦橋上に落下させたいんだ』
『艦橋の上に落下させようというのですね』
『そうだ、いくぞ』
二人は超能力、念動力を共振させて働かさせる。
ヘリの諌縦士は驚いた。
勝手にヘリ爆弾がはずれたのだ。ねら
わず、小型爆弾はプリッジに落下する。
閃光が襲う。
みはりの目を盲いさす。
爆風が見張りの体をなき払う。
二人は見張りのサブサブマシンガンをとりあげようとする。
艦橋にいたシモノフことKGBアレクサンドロフが姿を現わす。
肢は怒りを顔にあらわしている。
「くそっ、君達の仕わざか」
四郎とハーリマッド王子に向け、トカレフ拳銃を発射しようとする。
瞬間、姿をあらわした男がいる。
弾丸はその男の体にくいこむ。アラマドが体を呈して、二人を守ったのだ。
ハーリマッド王子は落ちていたマシンガンを取り上げ、一連射する。アレクサ
ンドロフの体はズタズタになって吹き飛ぶ。
アラマドをハーリマッド王子か抱き上げる。
「アラマド、しっかりするんだ」
アラマドは血を口からしたたらせながら笑顔をハーリマッド王子に見せる。
「大丈夫でございます。あなたがヤスラー王位に付くまでは、私は死ぬわけ
にはまいりません」
しかし、かなりの重傷と見てとれる。
至近距離から、腹を打ち抜かれている。
銃声を聞きつけて、他の船員が、押し寄せてくる。多勢に無勢だ。
が、その時、シンベル少佐の姿が炭野に入ってくる。
シンベル少佐の部下か、まず、サブマシンガンで、船員たちをな
ぎ倒し、進入洛を作る。それからシンベル少佐が突入してきた。
シンベル少佐か尋ねる。
「大丈夫ですか、ハーリマッド王子」
「私は大丈夫だが、アラマド大臣が」
「大臣、しっかりして下さい。私が来た限り安心して下さい」
「君達は大丈央だったのか、シンベル少佐」
「いえ、残念ながら、ほとんどの者が、動けない状態です。我々は下の
脱出用ハッチから登ってきたのです。が、ハーリマッド王子、喜んで下さい。我
我の力で『聖なる剣の先』号は奪取しました。ただ艦長は射殺されており
ました」
ザイード号に先行するヤスラー王国海軍潜水艦が『聖なる剣の先』号と
『アラブの目』号である。
「では、『アラブの目』号はどうなのだ」
「残念ながら『アラブの目』号は反乱分子に押さえられています」
「よし、『アラブの目』号を吹き飛ばすのだ」
「わかりました」
ジンベル少佐は暗号で、『聖なる剣の先』号へ連絡を送った。
やがて、大きな水柱が、目にはいってくる。『アラブの目』号が
撃沈されたのだ。
ザイード号の側にいたソビエト連邦の時報収集船が離れ始めた。
ザイード号上でも、シンベル少佐の指揮のもと、反乱分子は掃討
されつつあった。
反乱が完全に鎮圧できたのは、1時間後であった。
デュエット(二重走)第11回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ
合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。
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