私の中の彼へー青き騎士 第15回
青き騎士(1992年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
私のもうひとつの 忘れがたき光景。いや、トラウマと言っていいだろう。
シーン12
私の目に、残骸が飛込んで来た。
トラップドアだった。
目の前の奄々と続く光景は、一生忘れまい。
連邦軍のすべての装甲機・兵器・宇宙船など残骸の黒い山の群れだった。その空間でも黒い雨が降っている。
疑似空間には違いないのだが、なぜか黒い雨が降っていた。
私は、自分自身のまねいた結果をみているのだった。
そして、次の瞬間。私の体は光の塔にたどり着く。
そこは、光で何も見えなかった。
「よくきたね。沙織」
光の中心から、なぜか、、なつかしい声が聞こえてきた。
光沢のある床面に私は一人立っている。
壁は、光沢のある幾重にも重なったガラスのカーテンを想わせる。
「一体ここは」
意識がはっきりした私は、まず一言を発した。
私の前にはアイスがいる。なぜ、アイスとわかったのか。
4メートルはある機械と生物体の集合体で、ありとあらゆる生物体のごった煮。そんな感じの外見だった。それが、私の前に1体座って、私をにらんでいた。
「アイスパレスだよ。もちろん。ああ、沙織、注意しておくよ。「地球意志」の
考えている事など、すでにおみ通しだよ、私にとってはね。お前が、とてもすぐれた「ローズバット」とも聞いているからね」
「どこから、そんな情報を手に入れた」
「私の眼と耳は、あちらこちらにあるのさ」
何か悲しい気かした。
そして、不思議に、なつかしい、気がした。
なぜだか、わからなかったが、アイスに対する親近感が、私の心の中に充満していた。にくんでも、にくみきれない「アイズ」のはずなのにどうしたのだろう。
そもそも、私は何のために、ここ「アイスバレス」に来たのだろう。
めまいが、私を襲う。いったい何のために。
■シーン13
「私は、この氷原アイスフイールド、いえ地球を、いずれすべて支配するために
生まれてきたのだ」
アイスが、ひとりごちていた。
「あなたのおかげで、私達は、ニューオーハンとなった。いったい、何人の子供が悲しい目にあったと思う。私は今、すべての子供の怒りの権化よ、覚悟しなさい」
私はどなっていた
「沙織、お前は忘れているね、なぜお前たちが、なぜ頭の中に悪魔を飼っているといわれているのか」
私は気ずく、
「まさか、そんな事が、嘘だわ」
「ホッホッホ、その通りよ、私の体の一部を切りさき、おまえたちの頭の中へほ
おリ込んだ。だから心の秘密なぞ、何でもわかるわ。おまえの想いは青き騎士、それもおまえに裏切られ、おまえを生かすために死んだ」
「やめて、なぜなの」
「まだまだあるわ、おまえが、死の想いにほだされて、いかに、地球意志のおかげででかわつたかね」
「怒りよ。あなたに対する怒りで1杯だわ、それに、、」
私は力強く言った。
「私は私だけで戦っているのてはないわ、私の体の中には、青き騎士、翔の血が捉れているのだわ」
「ほほう。翔と共に戦う?それなら、それだけを、分離させてあげよう。どうな
るかね」
私の体が、急に強張った。さらに、本当にひきちぎられる想いがした。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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