アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第8回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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ハノ将軍は傭兵部隊隊長トポール大佐と向かい合っている。
「いいか、トポール隊長。お前にチャンスを与えてやる」
「おやおや、おやさしいことで」
「トポール隊長、言葉に気をつけろ。私はお前ら傭兵風情ではない」
「わかっておりますとも。あなたが名家のお生まれで、この宇宙のエリートクラスに属し
ておられることもね。でもハノ将軍、あなたが宇宙軍全体でどう言われているかご存じですか」
「何と呼ばれておるのだ。聞く耳はもたんが、聞くだけは聞いておいてやる」
「腰抜け将軍。それも実戦を知らぬ二等以下の人間だ」
「トポール大佐、よくも抜かしたな」
「おやおや、汚いお言葉だ。でもいままで、誰もハノ将軍のその形のよい耳には、そんなうわ
さが流れてきませんでしたか。ああお許し下さい。そのかわいそうなお耳を、私の汚らし
い言葉が汚してしまったのですね。あっ、ひょっとしてつんぼになられるのでは。お耳が
真っ赤ですよ。将軍、お気付きですか。熱があるのですか。顔の色もお悪いようだ」
「トポール大佐、いいかげんにしろ。お宝、銀河最大級の危険が目の前にぶら下がっているこの時期に、私を怒らせるのか」
「お許しください、ハノ将軍」
トポール大佐は片足を曲げ、腰を沈めた。
「ともかく、腐敗惑星に急行しろ」
「何が起こっているののですか」
「トポール大佐、いいかげんにしろ。お前も知っているはずだ。お前たち傭兵部隊はときおりわざわざ船をあそこまで持っていって、腐敗惑星に落下させているだろう」
「はてさて、何のことやら」
「いいか、最近の船では、ケンタウリのカーゴシップα315-620だ」
「おやおや、よくご存じですね。確かに探索船が腐敗惑星に沈下したようですがね」
「早く行け」
「わかりましたよ、もうすでに私の傭兵部隊軍団はアルハタ宇宙港にて出発準備が整っております。傭兵部隊攻撃艦タイコンデガもね」
傭兵部隊軍団トポール隊長と、ジェームズ軍医が話し合いをしていた。
「どうします」
「というと」
「えー、む、副官、ラム中尉のことです」
「彼ラム中尉が」
「トポール大佐、もうおわかりだと思います。あなたもわかっていながら、眼を塞ごうと
なさっています。彼、ラムはあなたに対して反乱の意志を持っています。あなたにかわって
独立装甲兵団の指揮を執ろうとしています。あなたも、それはおわかりでしょう」
「ジェームズ軍医、あなたのありがたいご忠告はわかった。それで私にどうしろというの
だ」
「今回の任務に、ラム中尉を副官として、連れて行くのは非常に危険です」
「ジェームズ」
「はっ」
「危険は我が友よ。独立装甲兵団が危険や死を恐れて何ができる」
「トポール大佐、また、あなたの悪い癖がでましたね」
「どういうことだね」
「トボケルのはおやめ下さい。あなたの自殺性癖が、またあらわれているのですよ。いけ
ない。今回の任務はおやめ下さい」
「ジェームズ、きさまごとき軍医になにがわかる。今回の任務はハノ将軍よりの直々の任務だ
ぞ。それを世界に、この宇宙を手に入れることができるかもしれんのだ。そんな任務をこ
の俺、傭兵部隊軍団トポール隊長が、しりごみできると思うか。それがわからぬ、お前でもあるまい」
「トポール大佐、老いられましたね。昔のあなたなら私にそんなグチなど言うことはなかった」
「そういう君、ジェームズも、私にこんなことはいわなかっただろう。わかった。ラム中尉の件は心にとめ
ておく」
「どうなさるおつもりですか」
「彼は別動隊の指揮をとらす。あやつは確かに血の気が多すぎるかもしれん。我々皆を危
険に陥れるかもしれんからな」
(続く)20090501改定
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