ガーディアンルポ02「人間樹の星」第5回
(1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
ナーダ77にいるガーディアン、ヘルムは、地虫スキャッグの部下に旧式のロケット発射場へと連れてこられた。
かなり老朽化した個人用クルーザーだ。地球でなら博物館でしかか目にかかれない代物
だ。
スキャッグの部下はあまりうまく銀河共通語を話せない。
「あなた、これ乗る。空へあがる。上へあがり壊れる。宇宙に浮かぶ。地獄船くる。袷う
「ひどい話だな。本当に地獄船が来るんだろうな」
「本当の話」
スキャッグの部下は急にヘルムの右腕に何かを剌した。
「うわっ、何を」
言葉か出てこたい。体力が急に消耗したように感じた。
ヘルムは地虫の節足にしっかりとつかまえられ、コックピットに無理やり押しこまれた。
スキャッグの部下は旧式クルーザーの発射ボタンを押し、ロケットは火山口から上空ヘ
飛びあがっていった。
■ナーダ77に一緒に到着しはぐれたガーディアン、ヘルムのバディである、クリスが目ざめた時、体は小刻みに震えている。
今、新しく生まわたような気分がする。
なぜだ。体調が悪いのたろりか。大地が震えている。
ゆっくりと、まわりの光景が眼になじんでくる。どうやら宇宙船にいるのではないらしい。
鉄格子が視界のじゃまになっている。通路らしきものが前にあり、窓から向こうの空か見
渡せた。
うす紫色の空だが、驚いたことにそれは恐ろしい速度で動いている。ここはナー
ダ77なのだろうか。側を見る。
ヘルムがいない。
死んだか。近くにいるならはヘルムのテレパシーを感じるはずだ。くそっ、どうしたんだ。
思わず足を踏みつけた。今まで気がつかなかったが、そこは金属でなく、岩でできてい
る。外の通路も岩盤でできている。ここは一体全体どこなんだ。
クリスが考えあぐねている時、通路に機械人間が現われた。そいつは機械人間としか呼
びようがない。
ヒューマノイドだが、華奢な体で、巨大な頭部がその上にのっている。補助機器が全身に附加されている。自分の力だけでは歩けないようだ。円形の機械が腰をとりまいて接続されていて、三脚の補助足がでている。それでようやく体を支え、体の移動を可能にしている。
「君、どこの星から来たんだね。有翼人達はどうやら手荒に扱ったらしいが、私はもっと
紳士的だからね。あ、そうそう。これは失礼、自己紹介してかこう。私はシータ。御覧の
通り、メモリー・マンだ。そしてナーダ77の情報網を手にしている。いねばこの星のだ
った一人の情報省さ」
ナーダ77か。やはりたどり着いていたのか。
どうやら俺はこの星の奴らにつかまったらしいな。さて、どう話したらいいものか。クリスは黙っている。
「ほう、返事がないね。答えるつもりかないのかね。まあ、いい、どうせ答えざるを得な
くなるからね。私はこうみえても心理技術者だ。君の心の扉を開いてみせよう。楽しみに
少し待っていたまえ」
シータは通路の彼方へ消えた。しばらく様子をみてクリスは鉄格子にさわってみる。柔
らかなものだ。
クリスか力を加えると、簡単に曲がる。何しろクリスは荒事が得意なのだ。
通路へ出て百メートルくらい歩くと扉がある。外へ出た。
地面がない。空に浮かんでいた。
いやナーダ77の大地に向かい落下しているのだ。
もうためかと思った瞬間、鋭い爪で上からつかみとられた。見上げると、翼を持つヒューマノ
イドがクリスをつかまえ、上昇していく。有翼人だ。
クリスは始めて、翻って今まで自分か閉じ込められていた建物を見た。
巨大な岩が空に浮かんでいた。そいつは恐るべき乙ヒードで空間を自在
に移動しているのだ。冷汗がにじんでくる。
フライング・キャッスルの入口に連れもどされた。扉の所にシータが待っていた。
「再びフライング・キャッスルヘようこそ。どりだね。空を泳いだ気分は、ショッタのあ
との無力感。すばらしい実験さ。さあ、これで私の心理技術も君には使い易くなっている
さ」
ガーディアンルポ02「人間樹の星」第5回
(1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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