封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
北の詩人は考えていた。
私はどこへ行くのだろう。
北の詩人は、ユニコーンから降りて、大球と小球をつなぐ「コード」の中間地点である通路に腰かけていた。
やがて、北の詩人は、通路の奥、つまり「小球」側に近い所から大きな音が響いてくるのを聞いた。
伺だろう。
北の詩人は、すぐに立ち上がると、ユニコーンに音のした方向へ進むように命じた。
ゴーストトレインは、倒れているアー・ヘブンの体をさぐる。
かま首をヘブンの体にあてる。
鼻先から黒い舌の様なものが飛びでる。
どうやら、今までにむさほり食った新機知の知いてはカいらしい。
端をすこしばかり、かじってみる。
表面は固いクチニン質で被われている。
この舌ざわりは、ゴーストトレインにが木というイメージ
語を、意識巣から思いおこした。
同時に、レール。枕木という単語が、意識巣から、頭の中に、こぼれ落てくる。
このイメージはすぐさま、ゴーストトレインの支配者である[天宮]へ送られた。
天宮は木というイメージ語から、自分の体を構成するモノとの相似に愕然とした。
「木だと。誰なんだ。誰かが、私に何かの信号を送っているのかもしれん。私は長い間、眠りについていたのだ。私の覚醒におびえている者がいるかもしれん』
天宮はコードにいるゴーストトレインに命令する。
『ゴーストトレインよ。その侵入者を食べるな。侵入者を積み込み、大球へ
戻ってこい』
北の詩人は、ようやく、その場所へ辿りついていた。目の前でゴーストトレ
インが伺かを食べようとしていた。
よく見るとゴーストトレインは、その何かを噛まずに、飲み込もうとして
いた。
北の詩人にとって、飲み込これたものの姿は、彼のイメージ脳をいたく刺激した。
北の詩人の眼から、いつしか温いものが流れていた。
「この液体は! ああ、そうだ、「涙」というんだったな」
北の詩人は独りごち、手で涙をぬぐう。
『なぜ、涙が流れるのだろう。それにこの心の奥から湧いてくる切ない気持
はなんだろう』
さわりたい。
あのアー・ヘプンの体にふれてみたいと北の詩人は思う。
なぜか、北の詩人は、その物体がアー・ヘプンという名を持つ生合体である事
を知っていた。
北の詩人の手は、ゴーストトレインの半透明々体を貫き、すでに消化器に入っているアー・ヘブンの体をなでまわした。
ゴーストトレインは、いつの間にか詩人が現われた事や、さらに自分の体
の中の生合体をさわって泣いている事に驚いていた。
ゴーストトレインは、北の詩人を見た。一体どうしたのだという表情で。
『いったい、この侵入者は伺なのだろう。
かつて、大球と小球をつなぐコードにある透視層を突き破った生命体はいなかった。それになぜ北の詩人が泣いているのだ』
ゴーストトレインは、不思議に思った。
「ねえ、北の詩人、君は、この生合体を知っているのか」
「いや」 北の詩人は首を振る。そして続けた。
「知らない。が、とてもなつかしい気がするんだ。この侵入者に触れてみ
たかったんだ」
「なつかしいだって? どんな気分々のか、俺にはわからないなあ。とに
かく、俺は「天宮」さまから命令を受けている。この生物を「大球」までつれて帰れとね」
ゴーストトレインは、寂びしそう力顔をしている北の詩人に尋ねた。
「俺と、一緒に来るかね」
「いや、僕はユニコーンに乗せてもらうよ」
「そうか、それじゃ、俺は先にいくぜ」
北の詩人は、後をふりかえってユニコーンを呼んだ。
ユニコーンは、対のふたつに分かれた死体のそぱにいた。ユニコーンは無
心に死体にしゃべりかけていた。
「君は、どうして、僕と一緒に実体化しなかったのだろう。僕は待っていたん
だよ。いつの間にか君が僕達を追いこして、コードにはいっていたなんて……」
「ユニコーン、こっちに来てくれ」
今度は、北の詩人の声が聞こえたらしくユニコーンは、北の詩人の側にやってきた。詩北の詩人の様子に驚く。
「どうしたんだい、泣いているのかい。何か、悲しいことでもあったのかい。そう泣かないでかくれよ。僕も、彼女が死んでいるのを見て驚いているんだ」
北の詩人が、心配そうに尋ねた。
「彼女だって、あのユニコーンか」
「そうなんだ。情報ユニット「ユニコーンの旅」とは、僕と彼女の小球への旅々なんだ」
「そうか。悪い事をしたんだね、僕は」
北の詩人は、また泣き出した。
「しかたがないよ。もう彼女は生き返りはしない。早く、僕の背中に乗りな
よ。ゴーストトレインを追いかけるんだろう」
「頼むよ」
「でも、なせ、ゴーストトレインに乗せてもらわなかったんたい」
北の詩人は答えす、首を左右にふった。
「わかったよ、泣かないてくれよ。僕もとても悲しいよ」
アー・ヘブンは、ゴーストトレインの腹腔で、徐々に回復しつつあった。傷
ついた表皮は復原機能が働き、元に戻りつつあった。
アー・ヘブンは自分の体が、振動しながら移動していることに気づく。体
が空中に浮かんでいる。
空気が高密度に収斂し、動いている。空気の構成因子が膨張し、実体化さ
れ、ゴーストトレインという一つの生体機械を作り出しているのだ。
ゴーストトレインの車体部分はほとんど古代の動物そのものであり、しか
も半透明だった。
アー・ヘブンは腹腔の中にとらえられたままでいようと思った。
そうすれば、天宮の元まで、おのずと連れて行ってくれるだろう。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●(1987年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
北の詩人は考えていた。
私はどこへ行くのだろう。
北の詩人は、ユニコーンから降りて、大球と小球をつなぐ「コード」の中間地点である通路に腰かけていた。
やがて、北の詩人は、通路の奥、つまり「小球」側に近い所から大きな音が響いてくるのを聞いた。
伺だろう。
北の詩人は、すぐに立ち上がると、ユニコーンに音のした方向へ進むように命じた。
ゴーストトレインは、倒れているアー・ヘブンの体をさぐる。
かま首をヘブンの体にあてる。
鼻先から黒い舌の様なものが飛びでる。
どうやら、今までにむさほり食った新機知の知いてはカいらしい。
端をすこしばかり、かじってみる。
表面は固いクチニン質で被われている。
この舌ざわりは、ゴーストトレインにが木というイメージ
語を、意識巣から思いおこした。
同時に、レール。枕木という単語が、意識巣から、頭の中に、こぼれ落てくる。
このイメージはすぐさま、ゴーストトレインの支配者である[天宮]へ送られた。
天宮は木というイメージ語から、自分の体を構成するモノとの相似に愕然とした。
「木だと。誰なんだ。誰かが、私に何かの信号を送っているのかもしれん。私は長い間、眠りについていたのだ。私の覚醒におびえている者がいるかもしれん』
天宮はコードにいるゴーストトレインに命令する。
『ゴーストトレインよ。その侵入者を食べるな。侵入者を積み込み、大球へ
戻ってこい』
北の詩人は、ようやく、その場所へ辿りついていた。目の前でゴーストトレ
インが伺かを食べようとしていた。
よく見るとゴーストトレインは、その何かを噛まずに、飲み込もうとして
いた。
北の詩人にとって、飲み込これたものの姿は、彼のイメージ脳をいたく刺激した。
北の詩人の眼から、いつしか温いものが流れていた。
「この液体は! ああ、そうだ、「涙」というんだったな」
北の詩人は独りごち、手で涙をぬぐう。
『なぜ、涙が流れるのだろう。それにこの心の奥から湧いてくる切ない気持
はなんだろう』
さわりたい。
あのアー・ヘプンの体にふれてみたいと北の詩人は思う。
なぜか、北の詩人は、その物体がアー・ヘプンという名を持つ生合体である事
を知っていた。
北の詩人の手は、ゴーストトレインの半透明々体を貫き、すでに消化器に入っているアー・ヘブンの体をなでまわした。
ゴーストトレインは、いつの間にか詩人が現われた事や、さらに自分の体
の中の生合体をさわって泣いている事に驚いていた。
ゴーストトレインは、北の詩人を見た。一体どうしたのだという表情で。
『いったい、この侵入者は伺なのだろう。
かつて、大球と小球をつなぐコードにある透視層を突き破った生命体はいなかった。それになぜ北の詩人が泣いているのだ』
ゴーストトレインは、不思議に思った。
「ねえ、北の詩人、君は、この生合体を知っているのか」
「いや」 北の詩人は首を振る。そして続けた。
「知らない。が、とてもなつかしい気がするんだ。この侵入者に触れてみ
たかったんだ」
「なつかしいだって? どんな気分々のか、俺にはわからないなあ。とに
かく、俺は「天宮」さまから命令を受けている。この生物を「大球」までつれて帰れとね」
ゴーストトレインは、寂びしそう力顔をしている北の詩人に尋ねた。
「俺と、一緒に来るかね」
「いや、僕はユニコーンに乗せてもらうよ」
「そうか、それじゃ、俺は先にいくぜ」
北の詩人は、後をふりかえってユニコーンを呼んだ。
ユニコーンは、対のふたつに分かれた死体のそぱにいた。ユニコーンは無
心に死体にしゃべりかけていた。
「君は、どうして、僕と一緒に実体化しなかったのだろう。僕は待っていたん
だよ。いつの間にか君が僕達を追いこして、コードにはいっていたなんて……」
「ユニコーン、こっちに来てくれ」
今度は、北の詩人の声が聞こえたらしくユニコーンは、北の詩人の側にやってきた。詩北の詩人の様子に驚く。
「どうしたんだい、泣いているのかい。何か、悲しいことでもあったのかい。そう泣かないでかくれよ。僕も、彼女が死んでいるのを見て驚いているんだ」
北の詩人が、心配そうに尋ねた。
「彼女だって、あのユニコーンか」
「そうなんだ。情報ユニット「ユニコーンの旅」とは、僕と彼女の小球への旅々なんだ」
「そうか。悪い事をしたんだね、僕は」
北の詩人は、また泣き出した。
「しかたがないよ。もう彼女は生き返りはしない。早く、僕の背中に乗りな
よ。ゴーストトレインを追いかけるんだろう」
「頼むよ」
「でも、なせ、ゴーストトレインに乗せてもらわなかったんたい」
北の詩人は答えす、首を左右にふった。
「わかったよ、泣かないてくれよ。僕もとても悲しいよ」
アー・ヘブンは、ゴーストトレインの腹腔で、徐々に回復しつつあった。傷
ついた表皮は復原機能が働き、元に戻りつつあった。
アー・ヘブンは自分の体が、振動しながら移動していることに気づく。体
が空中に浮かんでいる。
空気が高密度に収斂し、動いている。空気の構成因子が膨張し、実体化さ
れ、ゴーストトレインという一つの生体機械を作り出しているのだ。
ゴーストトレインの車体部分はほとんど古代の動物そのものであり、しか
も半透明だった。
アー・ヘブンは腹腔の中にとらえられたままでいようと思った。
そうすれば、天宮の元まで、おのずと連れて行ってくれるだろう。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●(1987年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training