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封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回

2013年07月18日 | SF小説と歴史小説
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training

北の詩人は考えていた。
私はどこへ行くのだろう。

北の詩人は、ユニコーンから降りて、大球と小球をつなぐ「コード」の中間地点である通路に腰かけていた。
やがて、北の詩人は、通路の奥、つまり「小球」側に近い所から大きな音が響いてくるのを聞いた。

伺だろう。
北の詩人は、すぐに立ち上がると、ユニコーンに音のした方向へ進むように命じた。

 ゴーストトレインは、倒れているアー・ヘブンの体をさぐる。
かま首をヘブンの体にあてる。
鼻先から黒い舌の様なものが飛びでる。
どうやら、今までにむさほり食った新機知の知いてはカいらしい。

端をすこしばかり、かじってみる。
 表面は固いクチニン質で被われている。
この舌ざわりは、ゴーストトレインにが木というイメージ         
語を、意識巣から思いおこした。

 同時に、レール。枕木という単語が、意識巣から、頭の中に、こぼれ落てくる。
 このイメージはすぐさま、ゴーストトレインの支配者である[天宮]へ送られた。

 天宮は木というイメージ語から、自分の体を構成するモノとの相似に愕然とした。
「木だと。誰なんだ。誰かが、私に何かの信号を送っているのかもしれん。私は長い間、眠りについていたのだ。私の覚醒におびえている者がいるかもしれん』

 天宮はコードにいるゴーストトレインに命令する。
『ゴーストトレインよ。その侵入者を食べるな。侵入者を積み込み、大球へ
戻ってこい』

 北の詩人は、ようやく、その場所へ辿りついていた。目の前でゴーストトレ
インが伺かを食べようとしていた。

 よく見るとゴーストトレインは、その何かを噛まずに、飲み込もうとして
いた。

北の詩人にとって、飲み込これたものの姿は、彼のイメージ脳をいたく刺激した。
 北の詩人の眼から、いつしか温いものが流れていた。
 「この液体は! ああ、そうだ、「涙」というんだったな」

 北の詩人は独りごち、手で涙をぬぐう。

『なぜ、涙が流れるのだろう。それにこの心の奥から湧いてくる切ない気持
はなんだろう』

 さわりたい。

あのアー・ヘプンの体にふれてみたいと北の詩人は思う。

 なぜか、北の詩人は、その物体がアー・ヘプンという名を持つ生合体である事
を知っていた。
 北の詩人の手は、ゴーストトレインの半透明々体を貫き、すでに消化器に入っているアー・ヘブンの体をなでまわした。

 ゴーストトレインは、いつの間にか詩人が現われた事や、さらに自分の体
の中の生合体をさわって泣いている事に驚いていた。

 ゴーストトレインは、北の詩人を見た。一体どうしたのだという表情で。

『いったい、この侵入者は伺なのだろう。

かつて、大球と小球をつなぐコードにある透視層を突き破った生命体はいなかった。それになぜ北の詩人が泣いているのだ』
 ゴーストトレインは、不思議に思った。
「ねえ、北の詩人、君は、この生合体を知っているのか」

「いや」 北の詩人は首を振る。そして続けた。
 「知らない。が、とてもなつかしい気がするんだ。この侵入者に触れてみ
たかったんだ」

 「なつかしいだって? どんな気分々のか、俺にはわからないなあ。とに
かく、俺は「天宮」さまから命令を受けている。この生物を「大球」までつれて帰れとね」
 ゴーストトレインは、寂びしそう力顔をしている北の詩人に尋ねた。
 「俺と、一緒に来るかね」
 「いや、僕はユニコーンに乗せてもらうよ」
 「そうか、それじゃ、俺は先にいくぜ」
 
北の詩人は、後をふりかえってユニコーンを呼んだ。
 ユニコーンは、対のふたつに分かれた死体のそぱにいた。ユニコーンは無
心に死体にしゃべりかけていた。

「君は、どうして、僕と一緒に実体化しなかったのだろう。僕は待っていたん
だよ。いつの間にか君が僕達を追いこして、コードにはいっていたなんて……」
「ユニコーン、こっちに来てくれ」
 今度は、北の詩人の声が聞こえたらしくユニコーンは、北の詩人の側にやってきた。詩北の詩人の様子に驚く。

 「どうしたんだい、泣いているのかい。何か、悲しいことでもあったのかい。そう泣かないでかくれよ。僕も、彼女が死んでいるのを見て驚いているんだ」
 北の詩人が、心配そうに尋ねた。
「彼女だって、あのユニコーンか」

「そうなんだ。情報ユニット「ユニコーンの旅」とは、僕と彼女の小球への旅々なんだ」
「そうか。悪い事をしたんだね、僕は」
 北の詩人は、また泣き出した。
「しかたがないよ。もう彼女は生き返りはしない。早く、僕の背中に乗りな
よ。ゴーストトレインを追いかけるんだろう」
「頼むよ」
「でも、なせ、ゴーストトレインに乗せてもらわなかったんたい」

 北の詩人は答えす、首を左右にふった。
「わかったよ、泣かないてくれよ。僕もとても悲しいよ」

 アー・ヘブンは、ゴーストトレインの腹腔で、徐々に回復しつつあった。傷
ついた表皮は復原機能が働き、元に戻りつつあった。

 アー・ヘブンは自分の体が、振動しながら移動していることに気づく。体
が空中に浮かんでいる。
 空気が高密度に収斂し、動いている。空気の構成因子が膨張し、実体化さ
れ、ゴーストトレインという一つの生体機械を作り出しているのだ。    
 ゴーストトレインの車体部分はほとんど古代の動物そのものであり、しか
も半透明だった。

 アー・ヘブンは腹腔の中にとらえられたままでいようと思った。
そうすれば、天宮の元まで、おのずと連れて行ってくれるだろう。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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