緑なす星にて第1回
(1978年)「もり」発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
クリアキンは思い浮べる、彼女の最期を。
クリアキンの過失だ。
クリアキンは苦しむ。しかし悩んでも救いが訪れるわけはない。
あるのは彼が操縦するロケットの目の前に広がる大いなる銀河の闇。
星の光
そして、今、向いつつあるのは、彼の星である地球だ。
「なぜ、あのとき、俺は」
クリアキンは考える。彼女は美しかった。
いやいまでも美しいに違いない。彼女イアラは現在でもあの場所で光り輝き
立っているはずだ。
クリスタル(水晶)作用だ。
彼女イアラは生きている姿のまま結晶化された。
あの時、クリアキンはイアラを助けるべきだった。
あの時。クリアキンの疑念とまどいがイアラの命を奪う原因となった。不可抗力
といえばそうもいえる。
今は、クリアキンは、地球のイアラの所にたどり着かなければならない
クリアキンのエネルギーはまさにイアラからでていた。
彼にとってイアラは心の糧だ。その姿がなくなっていれば、クリアキン
は生きてはいけないかもしれない。この広い宇宙の中の唯一つの拠り所だ。
同じ地球人の形態をした者に会うことは。地球脱出以来なかった。
クリアキンは孤独だった。心からイアラの水晶像を見たいと思う。
そのクリスタルから太陽光線変換器をとりはずさなければならない。
それなしでもクリアキンはたおれてしまう。クリアキンはサイボーグだ。
地球には地球を攻撃しやロウ人のンールドがはりめぐらされで、いる。
地球がロウ人達に占領されすでに50年たっていた。
全人類が宇宙空間にのりだし、星への植民を行ってからわずかの期間しかたっていない
時だった。
地球人達は始めはおずおずと。最が物顔で、その星の資源、原住星人の制服にとりかかった。自分達よりも秀れた宇宙人には、幸いな事に遭遇しなかった。かつて地球古代に存在した帝国主義の時代の再来の様に地球人達は資材を用い宇宙船を建造し。富を求め、拡がりつつある宇宙へと旅立っていった。地球の繁栄の時代はいつまでも続きそうに見えた。
終局は突然襲ってきた。
総てが燃えつきた。「地球」は炎の惑星としてのたうち、死んだ。
地球人以上の知性が存在していた。
彼らは地球人がその歴史を始める前から。観察していたのだった。地球人がはたして宇宙連邦に加入できるほどの生物かどうかを判断するために長い間沈黙していたのだった。
宇宙連邦は宇宙の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに
自分勝手に星々を荒しまわっていた。
連邦は人間が有害であると確認し。地球絶滅を決定した’
が恩赦によりわずかの人々が、地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは「羊船団」と
呼ばれた。
緑なる星にて第1回
(1978年)「もり」発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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