石の民「君は星星の船」第14回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/
光二は思わず右手人差し指の指輪にさわっていた。姉のかたみの指輪。
この指輪は、地下の生存ステーション・ゼータにいた時から姉がもっていたものだった。
●別の星域から攻撃的な宇宙人「ベースマン」の殺戮機械からの光線兵器がまわりの子供たちの体を貫く。
体が焼き焦げる
匂いがした。生存ステーション・ゼータだった。
12年前だ。
「いたいよ」
「助けて」
悲鳴と泣き声、叫び声がステーションに満ちていた。
「光二、大丈夫」
「有沙ねえちゃん、逃げて、僕はもうだめだ」
「何をいってるの、光二、しっかりしなさい。
マザー、マザーはどこなの」
「ここだよ」われた声が聞こえてきた。声帯が壊れたらしい。子供たちが倒れている。み
な、光二、有佐と一緒に育ったファミリーだった。
マザー、アリスA203は体の半分を吹き飛ばされていた。
焼き焦げた機材の下敷きになっていた。
「光二、有沙、ふたりでおにげ。お前たちだけだよ、生き残ったのは。私はもう動けない。
ここは私がなんとか、時間をかせぐ」
「だって、マザー、一緒に逃げよう」光二が泣き声で言う。
「有佐、はやく、光二を連れて逃げるのよ。光二、有佐のいう事を聞くんだよ。子供たち、
私が育てた子供たちで、今まで生き残ってきたのはお前たちだけだ。生き残っておくれ、
私アリスA203のためにも。そして、いつか私のことを思い起こしておくれ。さあ、そ
のためにも逃げて生き延びるのよ」
二人は泣く泣く、アリスマザーをおいてそのばを離れた。
「光二、後ろをみちゃあだめ」
「どうして、おねえちゃん」
爆発音が聞こえてきた。が、いかんせん、ふたりは子供だ。
高速で移動する宇宙人「ベースマン」の殺戮機械が近寄ってくる。
「光二、早く」殺戮光線がまわりをないだ。光二は倒れる。
「光二」有佐が叫ぶ。
光二は、恐怖で体を動かすことができないのだ。有佐は自分の体を
光二の体の上に投げ出していた。殺戮機械が光二たちに気がつく。光線がこちらをむく。
やられる、光二はそう思った。
目を思わずつぶった。が宇宙人「ベースマン」の殺戮機械の方が吹き飛んでいた。光二はゆっくり目をあける。
「おねえちゃん、いったい」光二は有佐の指にあるものをみた。それがふたりの命を救っ
たのだ。
「おねえちゃん、それは」
「私にもわからない、知らないうちに指にあったの」
石の民第14回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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