遙かなる絆-ランナー第11回
地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http;//www.yamada-kikaku.com
山田企画事務所 「マンガ家になる塾」
ヘルムはしばらく考えていた。
「サムナー、俺からの提案だ。軌道外でお前と戦おう。もし俺が敗れても、この子だけは助けてくれ」
「そのガキのことは考えておこう。いずれにしても、俺とお前は対決する宿命にある。
いいか、お前は有酸素型サイボーグ、俺は外宇宙でも動ける併用型エネルギーサイボーグだ。
勝敗は明らかだ。今ここで投降するなら考えんでもないぞ」
「サムナー、おまえにはEDOの対テロリストサイボーグとしての誇りがあるだろう。
同じように俺にも誇りがある。ロードランナーとしての誇りがな。
俺はムーンウェイの中をここまで走ってきた。のべ、十五万キロだぞ。
今までどんなロードランナーも走ったことのない距離だ」
「よし、わかった。お前はここムーンウェイでそのロードランナーの誇りと共に死ね。
ムーンウェイでの墓碑銘は俺が書いててやる。そのガキは、俺が持ってきた携帯用救出カプセルにいれておくんだ」
ムーン=ウェイ軌道の脱出用ハッチから、ヘルムは外宇宙へ出た。
月と地球を結んでいるのがよく見える。
二人はムーン=ウェイ軌道「クサカベ」の外壁上に立っている。
有酸素サイボ-グであるヘルムは宇宙服を着ていた。
動きが緩慢になるというハンデがある。
「ヘルムよ。フェアプレイだ。俺の武器は全部ここにおいておく」
サムナーは自分の休に隠されているあらゆる種類のウェポンを出し、ヘルムに対峙した。
サムナーは彼の癖で、連絡通信を受ける「受光基キャプスター」を全開にしている。
肉弾戦であった。
ヘルムは、体ごとサムナーにぷつかっていく。ゆうゆうとサムナーはよける。
「どうしたロードランナー。なんだその動きは」
サムナーはヘルムの足を狙っている。
足をねじりとってしまえば、ヘルムは動きをとれない。
サムナーはヘルムの足をとろうとするが、ヘルムの恐るべきロードランナーのキックが
無妨備なサムナーのわき腹を直撃していた。
サムナーはふきとび、ムーン=ウェイ外から飛ばされそうになる。
ムーン=ウェイ軌道外壁突起物の端につかまる。
ヘルムの宇宙服を着た足が再び襲ってきた。
その足をサムナーはつかまえる。
キックされる。ムーン=ウェイ軌道外壁の上に蹴り上げられた。
そのままサムナーは空間に浮かんでいて、背中のブースターを使い、ヘルムの背後へ回る。
指のー突きて、ヘルムの宇宙服とヘルメットの間を破る。
サムナーの指が首の近くにあるエネルギーチューブをつかもうと、人工外皮をめくりあげようとした。
その瞬間だった。太陽が異常なフローラ光線を放った。
サムナーの頭部と背部のキャプスターは、もろにその影響を受ける。
恐るべき超電荷が、「受光基キャプスター」に、サムナーの体のエネルギー源に流れる。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http;//www.yamada-kikaku.com
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