宇宙から還りし王(山稜王改題)第30回■
(1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
●ケインの意識は瞬時、現在のネイサンのゼルシア山上宮殿へと戻る。
「ケインくんよ。君は『地球意志』と戦え、君は独立した人格なのだ。
そして私とともに、この世をハーモナイザーによって統一しよう」
● しかし、ケインの意識は過去に戻り、地球に向っている宇宙船ア
ンバサダー号へとまい戻る。
ネイサンはコフィンの中で一人眠っている。
『ネイサン』
ネイサンの意識の中で叫ぶものがある。
「誰だ、私を呼ぶのは」
『私よ、マーガレットよ』意識と意識の会話だった。
『マーガレットだって、君はホールの中で消滅したはずだ』
「ええそう。でも、私の意識の一郎この船に残留思念となり残って
いるわ」
『君はハーモナイザーに同化しなかったのか』
「ほほ、ハーモナイザーに同化ですって、ネイサン、あなたはハー
モナイザーによって、地球を汚すつもり」
『地球を汚すだって、地球を浄化するのだ』
「ネイサン、ではあなたには死んでもらう」
「何だって」
『あなたをそのまゆから羽化させないわ。あなたがそのまゆから出
れば、地球を滅ぼすかもしれない」
「マーガレット、君は船のどこにいるんだ」
『さあ、どこでしょう。あなたの意識で探してごらんなさい。とに
かく私はあなたを地球へ行かせない」
●ネイサンと地球意志の端子マーガレットとの意識同志による10年に渡る戦いの始
まりだった。
●「ゼノウ将軍」アゴルフォスは急に、ケインに向かってどなってい
た。現実のゼルシア山上宮殿である。
キメラ獣のアゴルフォスは思い出していた。
ゼノウ将軍がおごりたかぶって
シャナナ宮殿へ乗りこんで来た時のことを。
アゴルフォスは知らないうちに『地球意志』にあやつられている。
「サイキック帝国、ここに滅ぶか」
ゼノウは王座を踏みっぶした。
アゴルフォスはそれを再度見ている。
サイキック帝国は超能力者集団であり、その超能力により人類が
居住不可能な惑星を自ら開発し住んでいたのだ。人類とは没交渉だ
ったのだが。
ゼノウ将軍率いる宇宙コマンド軍団が不意を突いたのだ。
(続く)
■宇宙から還りし王(山稜王改題)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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