腐敗惑星のアリスー第26回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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ラム中尉はチャクラを占領している装甲兵と通信がとだえ、あわ
てている。その透き間をぬって、ラフラタがコントロールルームに
入る。
「レインドロップ」
ラフラタはなにげなくつぶやいた。
ガクン、フライトデッ牛が揺れる。
「どうした。なにかしたなラフラタ」
ラム中尉が銃口を向ける。
「私を甘くみたな。私がただの監視員だとおもったか。このフライ
トデッキに何年もいたと思うのか」
「先刻のつぶやきは」
「そうだ、キーワードだ。このキーワードでこの監視衛星フライドデッキが
ある種の作動をする。私はこのフライトデッキの発明者なのだ。古
代から、ずっと私は生きてきた。私はこの監視機構の生みの親だ。
この星に変化があれば、この星を破壊するつもりだったのだ」
「このフライドデッキフライトに何か仕掛けを」
「そう、君のご想像どうり、このフライドデッキは腐敗惑星に落下
する。さらにこのフライドデッキフライトには中性子爆弾がセットされてい
る。落下と同時に爆発だ」
「やめろ。さもないと、君を殺す」
「残念ながら、一度作動させたフライトデッキはとまらんさ」
「くそ」
装甲兵の1人、ラム中尉はラフラタめがけ、銃を発射した。
■ 風民のひとりが、フライトデッキの異常にきずく。
フライトデッキが、我々の星を破壊しようとしている。
誰かとめるものは。
残念ながら、我々には体が存在しない。
何か方法は、
そうだ。一角獣の体はまだ、腐敗がすすんではいまい。
彼の体を使おう。
やるだけの価値はあるだろう。
「おきろ、君の出番だよ」
吹き飛んだ一角獣の脳に何かが話しかける。
まだ「ユニーレムリア」の生細胞は、完全に死んではいない。
「誰だい。僕に話しかけるのは」
「以前、君に殺された回収子ゲノンだよ」
「その人が、どうして僕に話しかける」
「私は風の意識体の一つになったのだ」
風。やはり風の意識体はあったのか」
「いいから、聞け、レムリア。君に働いてほしい」
「御覧の通り、僕の体はバラづフだよ」
「我々が助ける。合体させてやる。それに、安心しろ。
レムリア、君の体は本来の体ではなかった。霊体と機械の集合体だ」
「どういう意味だ」
「いずれ、わかる。そのかわり、君の役目を果してくれ」
「僕に何をしろというの」
「この星を助けるのだ」
「何のために。僕には何か得になることはあるの」
「君と君の子供のために」
「子供だって、、、子供だって、何をいいだすのさ」
が、レムリアの順に何かがよぎる。
小さな女の子だ。
血が騒いだ。ともかく体が今欲しい。
「じゃ、とにかく、僕を復活させておくれ」
「待っていろ、私の仲間が……」
風の力が集まる。機械城の中に嵐がおこっていた。
バラバラになったレムリアの体がよせ集められ、肉片の一つIつがつなぎあわさ
っていく。一角獣が復活していた。
「さあ、飛びあがるのだ」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー
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