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新人類戦記第3章聖域第2回ポートモレスビーで2人の男の交渉はまとまり、アコンカグワ山を目指し川を遡る。一方ソビエト連邦はシベリア地方に急にテレポートしてきたベトナム人を教育していた。

2021年02月17日 | 新人類戦記第3章
新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴスを抜け、ジョバ川をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。
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新人類戦記第3章聖域第2回ポートモレスビーで2人の男の交渉はまとまり、アコンカグワ山を目指し川を遡る。一方ソビエト連邦はシベリア地方に急にテレポートしてきたベトナム人を教育していた。
 

 

新人類戦記 第三章 聖域 第2回

作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)

 

南西アフリカの港ポート・モレスピー。

そこのバーで2人の男が話し合っていた。

フランス人のトルワイユは、この裏世界の

顔役だ。

 「それにアコンカグワ山についてどれだけ知

 っているのかね。あそこは悪魔の山として

ビサゴスのどんな種族も行くのを いやがる所だ。

イアテ族が住んでいるが、極めて没交渉的

で好戦的な種族だぜ」

 

 だまっていた陳が口をはさんだ。

 

「悪魔の山か。しかし超古代に作られた都市

群だといううわさを聞いたことがある」

 

 

「たしかにな。アコンカグワ山を調査に、一

九三七年にフランスの探検隊が乗り込んだ。

しかし一人として帰ってこなかった。救援隊

は彼らの足跡もつかむことすらできなかった。

きらに一九五八年アメリカの探検隊が……」

 

 くどくどと説明するトルワイユの会話を中

断させるべく、陳と呼ばれる男は声高に言った。

 「それで、費用はいくらなのかね。ムッシュー・トルワイユ

ワイユ」

 「どうしても、あの悪魔の山アコンカグワに」

 「くどい。我々はアコンカグワに行きたい

のだ。紛争地帯のジョバ川をさかのぼってな」

 

 トルワイユは額にしわをよせ。ずるそうな

眼つきで、陳の顔をながめ、考え込んでいる

ようだった。

 

「わかった。二人で十万ポンドだ。ビター文

負けるわけにはいかん」

 「それで、いつ、出発できるのかね」

 「装備や、人を集めるの時間がかかる。一週

間はほしい」

 

 「遅い、十二万ボンドだそう。三日以内に出

発できるようにしてくれ」

 

 「三日だと、無理な注文だ。そんな話は聞い

たことがない」

 「わかった。では、この話はなかった事にしょう」

 陳は側に置いたレイン・パーカをはなり、テーブル

から立ちあがろうとした。

 

 トルワイユはあわてて押しとどめた。

 「待て、待て、待ってくれ。そんなに急ぐ必要はな

い。そんな話は聞いた事はないといっただけ

だ。これから我々が前例になればいいんだか

らな。よろしい。わかった三日間で何とかし

よう」

 「それじゃ、三日後にサンテ桟橋で会おう。

金はその時半金6万ポンドを支払う」

 

 

 陳はドアを開けてでていこうとした。

 

 「待て、ムッシュー陳。あんたの連絡先はどこ

だね。何か異常事態が発生した時に連絡の方

法がないでは困るからね」

 

 「その必要はない。連絡は私からする」

 

 一度外に出た陳は、再びドアを開け、トルワイ

ユに言った。

 「楽しみにしているよ。ムッシュー・トルワイ

 ユ。アコンカグワヘ無事行ける事をね」

 レインハットをかぶり、陳は雨の中へ消

え去った。

 

 トルワイユは陳の出ていった後、舌うちし

た。

 「くそっ、東洋人め。青二才め。このトル

ワイユ様を何者だと思っているんだ」

 

 ポート・モレスピーの裏の世界でかなり名

前の知られているフランス人のトルワイユは

自尊心をいたく傷つけられる。

 

 斜め前のテーブルにすわっていた黒人にト

ルワイユはあごで合図をした。そのアフリカ

人は雨の中へとびだしていった。

 

 トルワイユは酒を注文し、憤懣やるかたなく

一人で酒を飲んでいたが、やがて、気をとり

なおし、電話をかけた。

 

「どうやら、河船が必要なようです。準備をお

一願いできますか。わかりました。では後で」

 

 トルワイユのテ-ブルをながめていたアジ

ア人がバーの中にいた。その男は立ちあがり、

連絡のためにホテル・ジャナイロヘ向かった。

 

■シュチェフキン大尉はベトナム人ルンのレ

ポートを書き加えようとしていた。目の前の

窓からは独特の尖塔を持つモスクワ、クレムリン宮殿が

見えている。

 

 彼はソビエト連邦KGB(ソ連国家保安委員会)の第一

総局に新たに設置された超能力戦線部の主任であ

った。

 

■シベリアの地方都市ピロピジャンに「ルン」と

いうベトナム人が突如出現したのは一年前だ

った。

 

 ベトナムのテト攻勢の折り、サイゴンのア

メリカ大使館を占領した南ベトナム解放民族戦

ベトコンから入手した秘密文書中に、アメリカ

の超能力戦士の存在を示す書類が含まれていた。

 

 アメリカ政府は、彼らエスパー戦士を、超能力戦士

と呼んでいた。この情報にソビエト連邦KGBはあせった。

 ソ連国内でも確かにESP能力については

かなりの研究成果をあげではいたのだが、戦

力としてまだ実用段階には至っていない。

 

 そんな折に、シュチェフキン大尉はシベリア地方

のへき地ビロビジャンに空間から現われた意識不明の男に

興味を持った。

 

 男は意識を回復したか、自分の名前すら憶

えていなかった。英語とわけのわからない言

葉をくちばしっていた。彼シュチェフキン大尉は

この言葉をテープにとり、モスクワのルムンバ大学に留学してい

る各国の学生、及びソ連軍に勉学にきている

各国の兵士に聞かしてみた。

 

一ヵ月後、ソビエト空軍に留学していたべ卜ナム

空軍兵によって、その言葉がべ卜ナム山岳民族の

言葉とわかった。

 

 しかし、なぜべ卜ナム山岳民族の男が遠く離れた

ソビエト、シベリア地方、ビロビジャンに現われたのか。

 

 シュチェフキン大尉はこの狗をにGBの保護下

においた。KGBサイコートレーサー(心理分析医)の力により、

2カ月後、男はようやく自分の過去をとりも

どしづつあった。名前はルンと言った。

 

 ソビエト連邦の思想教育がほどこされつつ、

彼のもてる超能力も倍加されつつあつた。

 

 彼ルンはテレポート能力によりべ卜ナムから

ン連へ瞬時移動を行なったらしい。そのきっ

かけとなったのはアメリカ軍の輪送機の爆発

にあるらしかった。がその時の事情は不思議

とルンの頭から記憶欠落を起こしていた。

 

 再び超能力戦士として鍛えなおされたベトナム人ルン

はその超能力を実戦で使用するために、KGB超能力戦線部は、

当面の動乱の地であるアフリカ、ビサゴスへ

送ろうと決定する。

 

 シェチェフキンはルンの超能力能力に疑い

は持っていないが、彼ルンの持つある種の精神

の不安定さを気にかけている。

 

 「まあ、いい、アフリカビサゴスで、彼ルンも実戦によっ

て、かっての能力を賦活できるだろう。そし

てそれはとかもなかさず、我がソビエト連邦KGB超能力戦線部

の実力の発揮である」

 

 そうシェチェフキンは考えた。

 

 

新人類戦記 第三章 聖域 第2回

作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)



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