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ザ・ゲーム(1979年作品)第3回 南条財閥のドン南条剛造は、久我島に行き、誘拐された孫の則夫を助け出してくれと依頼する。

2020年09月24日 | ザ・ゲーム(1979年作品)
ザ・ゲーム(1979年作品)話は、Y市で私立探偵業の俺が、ある女と出会ったことから 始まる。そして俺は世界をまたに駆ける傭兵となる。
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ザ・ゲーム(1979年作品)第3回 南条財閥のドン南条剛造は、久我島に行き、誘拐された孫の則夫を助け出してくれと依頼する。
 

ザ・ゲーム(1979年作品)第3回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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 「西くん。君の事は数分間の間に調べた。

このファイル通りの男だとしたら、君と契約

しよう」

南条財閥のドン、南条剛造が分厚い俺の資料ファイルを

手に言った。

 

つまりは、南条洋子の義父にあたる。

 

 

俺は言った。

 「話は早いわけですな。誰に調べさせたのか

わかりませんが。そのファイルの通りの男で

すよ。私は」

 

 「わかった。犬にはエサを与えないと動きは

しないだろうからな。ただし、これは自分自

身を守ってくれと言ったと思うが、私は別の

事を依頼しよう」

 

「いって、お義父さん、それじゃ、話が・」

 

 「お前はだまっていろ。わしのやり方の方が

てっとり早いのじや」

 

 「成功報酬は前金で五千万、成功後五千万だ

 「もちろん税抜きででしょうな」

 

 「もちろんだ」

 

 「で仕事は」

 

 「これから聞いたと思うが、久賀島という無

人島へ行ってもらいたい。私の孫を助け出し

誘拐した奴らを皆殺しにしてくれ。

これが孫の南条則夫のりおの写真と資料だ」

 

「待って下さい。人を殺すですって」

 

「西君、君の過去をすべて洗ったと言っただろ

う。君のベトナム戦におけるニックネームは

確か狂獣士だったはずだ」

 

 俺は言葉につまった。

 

 「日本国内で殺人。それで一億円の報酬というわけですか」

 

 「必要経費は別に認める。それに武器の方は

南条重工業が関係している製品なら何でもい

いたまえ。ただし小型原爆は無理だが」

剛造は含み笑いをする。ベトナム戦争で戦時用品で

儲けた財閥なのだ。

 

 俺は、ちらっと南条洋子の方を見た。彼女

は無表情だった。俺はこれが巧妙に仕掛けら

れた罠だとはこの時気づかなかったのだ。

 

 

■ 久賀島へ行く前、俺は一日の休暇をもらい、

久賀島の南に面する沖縄へ飛んだ。

1972年(昭和47年)に日本本土に返還された

沖縄は、米軍占領下のながりが残る。

 

ベトナム戦争は1975年に終わったが、

沖縄那覇はベトナム戦争時代、休暇でよく来た町だった。

いきつけのパーだった

メソンヘ入った。

 

 「よう、丈さん。何年ぶりかね」

 バーテンの才賀はまだ俺の事を覚えていた。

 

  「そうさな、もう10年になるかな」

 才賀はやせこけた男でかまきりを思わせる。

 

「今は何の商売だい、丈さん」

 「おはずかしいが、探偵ってやつさ」

 「わつ、かっこいいじゃないの。ハードボイルド小説みたいでさ」 

 

 才賀はグラスをみがきながら言った。

俺は、まさか、そんな事態になるとは夢には

思っていなかった。

 

 「そんなにかっこよくない。冲日本じゃ武器

を持てないしな」俺は少し照れている。

 

 ドアが開いて、米兵が数名入ってきた。

 

 「おい、お前、丈じゃないか」黒人の大男が

そう叫んで俺の方へ走ってくる。ベトナム戦

争の戦友ビリLだった。

 

 「お前、まだ生きていたのか」 「お前こそだよな」

俺達はだき合った。

 

 「ピリー、まだ軍隊にいるのか」

 「そうさ。黒人にとって軍隊はまだましな商

売だからな。それよりお前、どうしてここへ

 「うん’、ちょっと仕事でね」

 

 「丈さん、今、私立探偵やっているんだって」

 

 パーテンの才賀が口を入れた。

「やめろよ、才賀」

 

 ピリーは少し心配そうな顔をした。

「危い商売やっているな。あいかわらず。ど

こへ行くんだ。親友の俺にもいえないのか」

 

 「うん、ちょっとね」

 「言えよ、丈、水くさいぞ」

 

 俺はしかたなく、小声で島の名をささやいた。

 その名を聞いてピジーは急に顔色を変えた。

 

「丈、やめておけ、親友として言う。あの島

にだけは近づくな」大きな声でビリーは言っ

た。俺はそのあわてぶりに驚いた’ 

 

 「一体どうしたんだい、ビリー、ふるえてい

るじゃないか。ベトナム戦の猛者のお前が」

 

 「やめるんだ、丈、命がいくつあってもたり

ないぞ」

 

 先刻から俺達の話を聞いていたカウンター

に居た男達が側に来た。たぶん、俺を見張る

ように南条にいわれているのだろう。

 「黒人のお兄さん、ちょっと静かにしてもら

えないか」

 

 「何だ、あんた方は」

 

 「誰でもいい。西、南条さんに従って早く島

へ行け。それに二度と島の名は口に出すな」

 「いいか、七このバーテンもわかったな」

 

 男の一人がドスでビリーのほほをかすった。

 うっすらとほほから血が流れる。

 「やめろ」ビリーが、戦友をとどめた。

 

 「ここは場所が悪い」

 

 「大丈夫か。ビリー」

 

 「いいか、わかったな、西」男達はいいすて

てパー=メソンから出て行った。

 

 「ああ、丈、お前さん、あいかわらず疫病神だな」

ビリーはつらそうに言った。あのベトナム戦

の時の悲しげな顔だった。

 

 「すまん」俺は心からあやま。た。一体あの

島に何があるというのだ。

 

ピnノーに聞こうと

したが、彼は戦友達を引きつれてバーから出

て行く。才賀も口をつぐんだままだ。俺にす

ぐ出て行ってほしいという顔だった。

 

 「わかった。出ていくよ」

 

 「すいません、丈さん。あいつらここをシマにしている

東郷組のもんなんだ。あいつらににらまれたら、この辺

で商売ができないんだ」うつむきかげんで才賀はつぶやいた。

 

 「わかった」

 

 俺はドアを開けた。路地裏で悲鳴が聞こえ

る。ゴミだめの中へ男が二人ころがされてい

る。さっきのやつらだ。それでもビリーはテ

クナーナイフで彼らを切り刻んでいる。やく

ざは冷あせをながし、失禁しているようだ。

 

 「いいかげんにしておけよ、ビリー。そいつ

ら死んじまうぜ」

 

 「わかつているさ、それより丈、どうしても

行くのか」

 

「ああ、契約しているからな」

 

「気をつけて行けよ。そして又あおうぜ」

「こんど会う時はおごるぜ」

 

「あばよ」ビリーは二人のやくざをかつぎあ

げていた。

 

 

 

 

ザ・ゲーム(1979年作品)第3回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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