ロボサムライ駆ける■第5回(改訂)ー全62回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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聖騎士団長シュトルフが駆け込んできた。
「どういうことですか、殿下。機械城の警備を日本側のロボ忍に任せろとは」
「シュトルフ怒るな。これも殿下の深慮遠謀なのじゃ」
鷲顔の秘書官クルトフが言った。
「どういう理由か、お教え願いたい」
「よろしいですか、日本側は我々の動きを完全に信じてはいません。この機械城に仕掛けがあると考えておる節があるのです。その疑いを少しでも取っておきたいのですよ」
「それでは殿下は、機械城すべての警備をロボ忍に任せろとおっしゃるのですか」
「シュトルフ、そのとおりです。彼らに任せなさい」
「任せろとおっしゃられても」
「よいですか、シュトルフそれでは、教えてあげましょう。機械城全体が大きな罠なのです」
「その罠に落としますのは、一体?」
シュトルフは怪訝な顔をした。
「我らの目的の邪魔になるもの、すべてのものですよ。日本の政府関係者、氾濫ロボットどもとかね」
ロセンデールの青眼は残酷にきらりと光った。
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霊戦争は地球の浄化作用であった。当時、地球の文明全体が機械化文明に犯されつつあった。
情報公社「リンクス」や機械化会社「ロボテック」などのコングロマリットが、地球の全体のほぼ利益及び生産資材を握りつつあった。世界初の企業による世界帝国である。霊戦争が始まりを、今となってははっきり記述することは不可能だろう。結果的には地球の文明は少し後退したように見えるが、地球全体の生命体から見ればそうもいえない。緑が地球の全てを覆いつつあり、河川、海の汚染度も下がりつつあった。
地球上空何千キロの部分には監視衛星「ボルテックス」が数個設置されていた。これらの衛星はいわば、神の剣であった。
すでにこの時期、自然類は地球外に影響を及ぼしつつあった。外惑星は、この地球の状態を理解できないでいた。ボルテックスはこの地球全体に結界を引いていたのである。
しかしながら、機械化文明は退歩した訳ではなかった。地球にはロボットや機械がうじゃうじゃ存在し、減少する傾向は出ていなかった。
(4)
地下坑道。
巨大なトンネルがうがかれていた。ともかく天井が異常に高い。
鑿岩ロボットたちは、手を休めていた。皆へとへとに疲れている。これから先は人間、霊能師の役割なのだ。彼らは霊能師たちを見守っていた。
多くの人間が円陣を組み、何かを唱えていた。すべての人間が汗をかいていた。
その円陣の向こうの壁が光り出している。
「おおっ、あれは」
何人かが、驚きの声をあげた。
壁という壁は、石仏、仏像、寺社の建物でひしめいていた。そこから先数キロは異様な空間を作り出している。
うしろから、巨大な光る物体があるいてきた。
大仏である。
ゆるゆると、歩いてくる。ロボットたちの前をすぎ、人間の円陣の横をすぎる。
が、その先が問題なのだ。
バリバリと音がする。
大仏は歩こうとするのだが、ある一定のラインを越すことができない。
大仏がブルブルと震えていた。
同時に壁にひっついている仏像も石仏もゆらゆらと震えているのだった。まるでその壁が揺らぎ、大仏の進行を妨げているようにも見えた。
(続く)
続く090901改訂
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