封印惑星第5回●覚醒したる「天宮」は、飛来する巨大木「ハーモナイザー」の 使者「アー・ヘブン」を敵と感知し、大球と小球間の スパーダーネットによって捕獲・破壊しょうと。
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ●動画manga_training
ユニコーンと北の詩人が歩みはじめた、その地下、つまり「大球」の奥深く
存在する純粋思考体、新しく目覚めたばかりの「天宮」は異物の飛来を気にやんでいた。
「大球」の鉄表面でも、大いなる生態系の変化が、そしてまた、起こっている。
つまりは、すでに大球の表面に生棲していた[ハーモナイザーからの監視者]=ユニコーン達、新機類、はゴーストトレインが喰いつくしている。
覚醒したる「天宮」は、情報ユニットであり生物体である「ゴーストトレイン」を実体化させる。同時に、その「ゴーストトレイン」の内部感覚を共有している。
つまり、「天宮」イコール「ゴーストトレイン」の知覚であった。
そして、不思議なことに、同じく実体化させた情報ユニットである「ユニコーン」と「北の詩人」の心情、感覚も理解して、共有していた。
つまりは、覚醒したる「天宮」は、「大球」の鉄の表面には、存在しえない生物体を実体化させ、「大球」「小球」の生命生態系を、大いに改革しょうとしている。
まるで、この封印惑星が別の星になるように、、
「ゴーストトレイン」が、何匹めかのユニコーンを倒した時、「大球」につながる「小球」に存在する大いなるハーモナイザーの監視中心機構・つまりはユニコーンの元締めである「生命球」から、ハーモナイザーへの危険信号が宇宙にむかい放たれたのを、「天宮」は気づいている。
さらに、むずがゆさとでも呼べばいいのだろうか、ある種の奇妙な感覚を「天宮」の予知能が感じていた。
目覚めたる「天宮」にとっての「敵の存在」をである。
ハーモナイザーの監視中心機構・つまりはユニコーンの元締めである「生命球」以上の存在。
ハーモナイザー自体が?、しかし、今感じる脅威は、そうではなかった。
「天宮」、今は
なぜか、その気持は、新機類を喰いつぶした時のゴーストトレインの様な荒々しい気持とは異なっている。
何か細やかな手ざわりを持つもの。
そう、なつかしい人?の手?のイメージが、天宮の全感覚の中にひろがっていく。
人?
手?
それは、何だ。
「天宮」には記憶にない。あるのかの知れないが、だめだ。思い出せない。
やわらかき手。それは、、
そして人間のイメージが、、。
しかし、また、天宮は、そのやわらかい手によってにぎりつぶされるイメージがある。
「なぜだ。自分は滅びるかもしれない。新しき来るものによって」、
そんな予感を、覚醒したばかりの「天宮」は感じているのだ。
●ハーモナイザーの使徒、宇宙空間飛翔体、「アー・ヘブン」
は、急に襲ってきた「粘性の網」に包まれている。
胞子の持つ推進力が、この粘着力のある網に対してはまったく作用しないのだ。
あらゆる方向に動くことは動くのだが、一定の距離に達すると、反作用でまた元の場所へ戻ってしまう。
つまりは、「アー・ヘブン」はみごとに敵の手中に陥ったようだ。
ここは「敵」なるものの勢力圏の中である。
「敵」イコール、ハーモナイザーに敵対するモノたちである。
●恒星「タンホイザー=ゲイト」の中心部、緑色の液体で充たされた空間。
その場所に浮遊する巨大な″木″。
″木″は意思の集合体であり、「ハーモナイザー」と呼ばれる。
●粘性のネットは、俗に「スパイダー・ネット」と呼ばれている。
「天宮」は、小球をチューナー部分として使い、自分の膨大な情報ユニットが持つ、
色々なイメーージを宇宙にまき散らし、そのイメージ像に、興味を持った宇宙船を呼び寄せていた。
そして、その宇宙船を、「大球」と「小球」を結ぶ宇宙空間に存在するコードから発射される「スパイダーネット」でからめとっていた。
●「天宮」は、その船のメインデータバンクや乗員から全宇宙の知識を盗み出していた。
「天宮」は、自分の存在を検証しているのだ。
自分とは何か。
そして何のために存在するのか。
そして大なる覚醒の意味合いは、何なのか?
●「アー・ヘブン」の乗った宇宙空間移動胞子は、ゆっくりとコードヘ引き寄せられていた。
ハーモナイザーの使徒、アー・ヘブンは、自分の分かれている位置をじっくり観察する事にする。
まっ黒な表面で包まれている「大球」のまわりをゆっくり「小球」がまわっている
。小球は大球の何分のIかの大きさで衛星のようだった。
ハーモナイザーから「アー・ヘブン」が受けた睡眠学習によれば、「大球」は、遠い昔、ハーモナイザーと争い、敗れたとの事。
その時、「大球」はみずからの意志で、大球表面上の生き物をねこそぎ滅ぼした。
さらに大球が黒い表面、鋼鉄で被われているのは、ハーモナイザーによって封印されたからだ。
宇宙の邪悪なる星として。
睡眠学習情報を再生中のアー・ヘープンの体にいきなり激しい衝撃が伝わる。
アー・ヘブンの意識は停止した。
ついに胞子は、スパイダーネット」によってコードまでたぐり寄せられ、凄まじい圧力を加えられた。
「宇宙空間移動胞子」は圧力で消滅しアー・ヘブンは裸のままとり残される。
アー・ヘブンのまわりを包み込んでいた胞子の構成要素は瞬時に消え去っていて、
破片を分析しようとしてコードからはりだした、「天宮」の「感覚枝」は、むなしく空をがでた。
「感覚枝」は天宮の、実在化する神経細胞であり、手の役割をする。
感覚枝は、代りに、とり残されたアー・ヘブンの体をとらえた。
コードの一部に穴が開き、感覚枝はアー・ヘブンをその穴の中へ引きずり込む。
感覚枝は、アー・ヘプンを、巨大なプールヘと送り込む。
このプールは、コードにある透視層で、生命体が解析される場所だった。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●(1987年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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