緑なる星にて第2回
(1978年)「もり」発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
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宇宙連邦は宇宙。の秩序を守ることを目的とする組織であり。人類はその組織を知らずに
自分勝手に星々を荒しまわっていた。連邦は人間が有害であると確認し。絶滅を決定した’
が恩赦によりわずかの人々が地球をのがれ他の星へ移り住む許しを得た。彼らは羊船団と
呼ばれた。
羊船団の出発浚。宇宙連邦の中でも残忍なことで有名なロウ人が襲来した。
■クリアキンはエの面影を心にいだきながら、地球にもどってきた。
ロウ人の支配する地球へ。地球人はもうだれもいないはずだった。
48才になったクリアキンは、青い瞳でバ不思議なほどに青い地球をながめていた。
「帰ってきたぞ、イアラ」
クリアキンは独りごちた。
長期の逃亡生活はクリアキンを闘士にしたてあげこそすれ、老いは感じさせなか った。
■ロウ人の戦闘艇があらわれた。
「停船しろ。貴船のコールサイン及び名称をいえ。」
クリアキンは答えない。
「くりかえす。停船しろ。貴船のコールサイ y及び名前をいえ。」
ロウ人は銀河共通語でわめきたてる。
クリアキンの船は速度を増す。
「これが最後だぞ。停止しろ。コールサイン及び船名だ。」
「やむを得ない。攻撃する」
メーザー・ガンが発射された。
クリアキンは船の自己防衛システムと自動操縦装置を連動させ、
すばやく、宇宙船内に収納してある捕助艇に乗り移った。
この捕助艇はあまりに小さい。
直径5mのポールだ。外形はさびついていてスクラップのように見える。
宇宙船の部品の一部のようにもみえる。
しかし内部は最高の技術でコンパクトにまとめられている。
コプクピット(操縦席)内で全装置のチェックをおわった後、
クリアキンは、大きな船の方の自己分解装置のスイプチをONにしたヽ。
クリアキンの大きい船体は大爆発をおこす。
ロウ人は自分達が発射したメーザガンが命中し、クリアキンの船を破壊できたと思いこむ。
バラバラになったクリアキンの船の残骸。
機械の一部分にみえる捕助艇もその中にあり、カモフラージュされている。
ロウ人の船が残骸を収集し分析するために近づいてきた。船の下部より多数のロボットアームを出し。一つ残さずクリアキンの船の残骸を集め;船の内部に収容した。
やがてロウの戦闘艇は地球へもどる。
成層圏を、そしてロウ人の防衛ラインを突破した。
クリアキンの予定行動地点上空にさしかかる。
この時をじっと待っていたクリアキンは行動に侈る急激に長さ10数mの針が捕助艇のすみずみから飛びだす。他の残骸からも針が飛び出す。
針はロウ人の戦闘艇内部をつきやぶり、その針から強烈なエネルギーが発射された。
ロウ人の戦闘艇は内部爆発を数度くりかえし、操船不可能となり、宇宙船の墓場と呼ばれる地域の上で完全に吹き飛んだ。
クリアキンの小型の捕助艇はロウ人の船の大爆発の瞬間。外装をつきやぶり、勢いづいて、墓場につっこみ、地中に何mもくいこんだ。
■ロケットの墓場」は地球人がに地球にみちあふれていた時代からあるもので、役に立たなく
なったロケットや形の古くなった船が世界各地から集められ、雨ざらしになっていた。
広さは小さな砂漠一つ分だ。
捕助艇のコックピットよりはいでたクリアキンはあたりをみわたした。
数年ぶりで足の下にする地球だ。
例え、最初に辿り着いた場所が宇宙船の墓場であろうと、地球の上であることに
かわりはない。
「宇宙船の墓場か。俺にふさわしいかもしれない」
クリアキンは思う。なぜかこの場所にはもどってこないような気がした。
クリアキンの船は特別に作られたものだ。
残骸が全部合体して新しい船が構築される。パラパラに分解した
部品一個一個に電子頭脳が埋めこまれている。
いわば一つの部品がロボットなのだ。もし部品がいくらかたりなくても、この地平線までも埋めつくすロケッ卜の墓場から部品を捜しだせるとクリアキンは考えていた。
「それにしても何と寒々とした所だ」
クリアキンは自分の艇を隠す場所として選んだこの地域を見て思いあたった。
緑なる星にて第2回
(1978年)「もり」発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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