ロボサムライ駆ける■第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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機械城。
ロセンデール卿によって、極めて短時間に作られていた城である。
ロセンデール卿が、日本に到着してすでに六カ月がたっている。
この時期、古来からあった城は霊戦争のおりなくなっていた。それゆえ大阪城の場所にその機械城は建てられていた。
外見上は日本の城に見える。城壁、天守閣、櫓などを見ても変わっているようには見えない。が、すべて機械でできているのだ。城壁の石垣の一つ一つも、窓枠の一つ一つも、すべて機械なのだ。
それもロセンデールの命令どおりに作動する一つの機械生命体であった。城壁の四隅に櫓があり、中央部に天守閣、小天守閣がある。 この天守閣のみ、少しばかり形が変わっていて、西欧の寺院風にも見えた。
一階から五階まで、吹き抜け部分が作られていた。小天守閣には、心柱を探るための研究機材が集中していた。
天守閣は、ロセンデール卿の居城であり、そして何か別の目的で建てられているのであった。
◆
「斎藤くん、水野くん、ご覧くださいね。もうここまで進んでおります」 ロセンデールは、機械城の中央、天守閣にあるコントロールルームの巨大なモニターを二人に示した。
この画面には、心柱があると思われる位置がコンピュータグラフイックスで描かれ、その心柱に向かって進む地下坑道が数多く表示されている。この地下坑道のすべてで、数百体のロボットが作業を行っていた。
「西日本がロボット奴隷制でようございました。東日本ならロボットを強制労働させるわけにはいきませんからね」
ロセンデール卿がいった。
「さようでござる。ロセンデール卿も運のいいことじゃ」
水野がほくそ笑む。
「しかし、やはり足毛布博士がいなければ、こうもいきませんでした」
「さようで。で、足毛布博士は」
「ああ、彼は人に会いたくないとおっしゃって坑道A-五〇に入っておられます」
「博士の人嫌いにも困ったものじゃのう」
「いやいや、それだからこそ、このようなロボット強制労働ができるというものです」
「ほほ、博士の性癖に感謝せぬといかん訳ですな」
「そのようですな、はっはは」
「が、ロセンデール卿。みはしらが発見されたあかつきのこと、よろしくお願い申しあげますぞ」
「日本統一のことですね」
「しっし、ロセンデール卿。声が大きすぎます」
「何しろ、これは我々だけの秘密でございます」
「まさに、まさに。それにしても、落合レイモン殿があように易々と我々に協力していただける意向をお持ちとは思いもしませんでした」
「レイモン殿も何か考えるところがあるのでござろう」
「斎藤、それゆえ、レイモン殿の監視、努々怠るではないぞ」
水野は、隣に控えていた斎藤にいった。
「さように取り計らいます」
「水野さん、斎藤さん。珍しいものをお目にかけましょうか」
「ロセンデール卿、それは一体どのような」
「ご両公とも眼を回されるに相違ありませんねえ」
「ほほう、卿がそう言われるくらいなら」
「期待いたそう」
巨大な空間が機械城天守閣の中にある。
高さ三十メートル、広さは縦横とも百二十メートルはあるだろう。その真ん中に真紅の袱紗カーテンで仕切られている。
「いったい、これは」
「お見せしましょうか。諸君 カーテンを開けなさい。命令です」
ロセンデール卿が命令した。
「こ、これは」
二人は絶句した。黄金の大仏であった。
「どのようにしてここへ」
水野と斎藤は叫んでいた。
「それはね、とれも大切な新生ゲルマン帝国の企業秘密なのですよ。だからね。日本人のお二人にはおしらせできません。おあきらめくださいね」
ロセンデールは卿にこりとした。
続く20210514改定
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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