ロボサムライ駆ける■第39回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
you tube manga_training
大仏は地下大空洞の中へ落ち込んでいく。
続いて後を追って飛び込む主水。
主水は何とか地面に立っていた。
「ここがお主と私の死のリングぞ」
黄金大仏に叫ぶ主水である。
空いた穴から光りがさしこむだけで後は真っ暗である。
大仏はゆっくりと立ち上がる。足元はかなり窪んでいる。
ゆっくり、暗渠の中を見渡し、ようやく主水を見つけた。
にやりと笑ったようでもあった。法衣の裾さばきも良く、ぐいぐいと主水の方に近づいて来る。身長三十メートル。主水の体が小さくて、目に入らぬのではないかと思うくらいである。急に腰を屈めてくる。
足が跳んで来た。踏みつぶそうというのか。主水は真上に剣を突き上げた。刀が何かの中に入っていく。
大仏の足の裏に突き刺さっていた。一瞬の後、主水は足の先より逃げていた。
「ぐわっ、ぐわっ」
大袈裟な反応が大仏ロボットより返ってくる。
無論タイ語でしゃべっているのであろう。
おや、思ったより、皮膚が柔らかいらしい。
ハイチタンではないようだ。二本目の刀、愛刀ムラマサをもって、目の前にある足の上を、刀の刀頂を支点にして飛び越してみる。
「ぐわっああ」
すっぱりと,刀ムラマサの通った後に傷が残っている。
見かけ倒しだ。
痛点があちこちにあるらしい。主水は右足から臑、大腿部と続けて飛び上がる。
大仏はすばやく動く主水を見つけられないようだ。
よろしい、それならと、背中から首もとへ。主水は動く。
左右の手を背中にまわそうとする大仏ロボット。だが、
「かゆいところへ手は届かぬ」ではないが、肩のジョイント部分が正常に作動しない。手が回り切らないのだ。
主水を探す左手のひらを再び刀で切り下ろしてみる。大仏の手のひらに生命線が切り刻まれている。
「大仏よ、お前の生命線が長くはないぞ」
つぶやく主水。
背中から首へ飛び上がった主水は、首の痛点に刀を差し入れる。
よくよく考えれば、大仏は武器を持っていないのだ
。大仏の武器はその体なのである。
伸びる指にすばやく指紋を刀で刺される。大仏との闘いは、ほとんど主水のペースであった。
これには当のロセンデールですら、気もつかなかったであろう。
「くそっ、タイの大仏はこんな不良品だったのですか。単なるでくの坊じゃないですか」
ロセンデールは歯がみする。
「いや、大仏ならぬおだぶつですよ」
まわりにいたクルトフがなれぬシャレを言う。クルトフもやけくそである。
「クルトフ、君まで」
ついに顔のうえで飛び上がった主水の剣ムラマサは、耳、鼻を切り落とした。
とどめに両眼を突き刺す主水。まるで生身の体をもつ大仏はゆらゆらと揺れ、ドウと大地に倒れた。
大仏の体は、どろりと、ゆっくり分解する。
大仏の体は、バイオコプターの機体集合体となり、それもくずれ、バイオコプター飛行士の体がどさりと出てくる。
主水は片手で死体を拝む。
このタイの大仏は、小型バイオコプター40機が合体してできていたのである。それゆえ、移動も簡単なのであった。
「大仏ロボットやぶったり」
主水は雄叫びを上げた。
(続く)
ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikku.com/
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
you tube manga_training
大仏は地下大空洞の中へ落ち込んでいく。
続いて後を追って飛び込む主水。
主水は何とか地面に立っていた。
「ここがお主と私の死のリングぞ」
黄金大仏に叫ぶ主水である。
空いた穴から光りがさしこむだけで後は真っ暗である。
大仏はゆっくりと立ち上がる。足元はかなり窪んでいる。
ゆっくり、暗渠の中を見渡し、ようやく主水を見つけた。
にやりと笑ったようでもあった。法衣の裾さばきも良く、ぐいぐいと主水の方に近づいて来る。身長三十メートル。主水の体が小さくて、目に入らぬのではないかと思うくらいである。急に腰を屈めてくる。
足が跳んで来た。踏みつぶそうというのか。主水は真上に剣を突き上げた。刀が何かの中に入っていく。
大仏の足の裏に突き刺さっていた。一瞬の後、主水は足の先より逃げていた。
「ぐわっ、ぐわっ」
大袈裟な反応が大仏ロボットより返ってくる。
無論タイ語でしゃべっているのであろう。
おや、思ったより、皮膚が柔らかいらしい。
ハイチタンではないようだ。二本目の刀、愛刀ムラマサをもって、目の前にある足の上を、刀の刀頂を支点にして飛び越してみる。
「ぐわっああ」
すっぱりと,刀ムラマサの通った後に傷が残っている。
見かけ倒しだ。
痛点があちこちにあるらしい。主水は右足から臑、大腿部と続けて飛び上がる。
大仏はすばやく動く主水を見つけられないようだ。
よろしい、それならと、背中から首もとへ。主水は動く。
左右の手を背中にまわそうとする大仏ロボット。だが、
「かゆいところへ手は届かぬ」ではないが、肩のジョイント部分が正常に作動しない。手が回り切らないのだ。
主水を探す左手のひらを再び刀で切り下ろしてみる。大仏の手のひらに生命線が切り刻まれている。
「大仏よ、お前の生命線が長くはないぞ」
つぶやく主水。
背中から首へ飛び上がった主水は、首の痛点に刀を差し入れる。
よくよく考えれば、大仏は武器を持っていないのだ
。大仏の武器はその体なのである。
伸びる指にすばやく指紋を刀で刺される。大仏との闘いは、ほとんど主水のペースであった。
これには当のロセンデールですら、気もつかなかったであろう。
「くそっ、タイの大仏はこんな不良品だったのですか。単なるでくの坊じゃないですか」
ロセンデールは歯がみする。
「いや、大仏ならぬおだぶつですよ」
まわりにいたクルトフがなれぬシャレを言う。クルトフもやけくそである。
「クルトフ、君まで」
ついに顔のうえで飛び上がった主水の剣ムラマサは、耳、鼻を切り落とした。
とどめに両眼を突き刺す主水。まるで生身の体をもつ大仏はゆらゆらと揺れ、ドウと大地に倒れた。
大仏の体は、どろりと、ゆっくり分解する。
大仏の体は、バイオコプターの機体集合体となり、それもくずれ、バイオコプター飛行士の体がどさりと出てくる。
主水は片手で死体を拝む。
このタイの大仏は、小型バイオコプター40機が合体してできていたのである。それゆえ、移動も簡単なのであった。
「大仏ロボットやぶったり」
主水は雄叫びを上げた。
(続く)
ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikku.com/
- ジャンル:
- 小説