ロボサムライ駆ける■第55回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
■第七章 血闘場(3-2)
「それではお相手申す。ロセンデール殿」
夜叉丸の姿が急に大きくなったような気がした。
「あやつは、霊人間、このおはしら様より預かった人じゃ」
レイモンが小さく呟く。
「ロセンデール、もう後がないぞ」
夜叉丸が呻いた。
「まだまだよな、私はまけぬよ。夜叉丸くん」
「夜叉丸くん、レイモンを見たまえ」
レイモンをシュトルフがつかまえていた。
「君の泣きどころは、レイモンでしょう」
「くそっ、ひきょうだぞ。ロセンデール」
ロセンデールが主水の方へ走り込み、主水の首にサーベルの切っ先をつける。
「夜叉丸くん、君のような、化け物は私が相手にするより、他の人間に相手させます。わたしの柄じゃない。その前に、主水君、君の生命の流れを止めてあげましょう。私一人が死ぬ訳にはいきませんからねえ」
「やめろ」
観戦していた群衆の中から飛び出して来る男がいる。足毛布博士だった。
見る間に主水の体に取り付いている。
「そいつは私の息子だ」
先刻とは顔色が変わっている。
「助けてくれ、お願いだ。変わりに私を殺せ」
主水の上に覆いかぶさり庇う。ロセンデールに対して睨みをきかす。
「おやおや美しい親子の愛情ですねえ。だが、足毛布博士、主水君一人を助けたところで流れは変わりませんよ」
ロセンデールは二人をコバカにしている。
足毛布博士は、ロセンデールのしゃべりを聞きながら、気付かれぬように、主水の胸のある一点を、指で押していた。
嘘のように、主水の意識が回復する。渾身の力がみなぎって来る。どうやら、どさくさに紛れて、足毛布博士は主水の体にある、足毛布博士しか知らぬ回復点を押したようだ。
「足毛布博士、おどきください。あなたを殺す訳にはいきません。あなたはこれからのヨーロッパ奴隷ロボット制確立にかかせない方ですからね。主水君をやれば、後の反乱ロボットは烏合の衆です」
「できるかな、ロセンデール卿」
足毛布博士がにやりと笑い、主水の体から撥ね跳んだ。
主水が、クサナギの剣を力強く掴み、すっくと立ち上がっていた。
「主水くん、き、君は」
あまりのことに驚くロセンデール。
瞬間、ロセンデールに隙が生じる。
「と…っ」
渾身の力を込めて、主水はクサナギの剣を振り下ろす。
クサナギの剣が、ロセンデールの首と胴をみごと切り離していた。
鮮血が飛び散る。ロセンデールの赤い血が、祭壇に花のように咲いたのだ。
そんなばかなという顔を、ロセンデールはしてよろけた。ゲルマンの剣は手からゆっくり離れ、床に突き刺さる。
「ロセンデール、仕留めたり」
主水が叫ぶ。右手高くクサナギの剣が差し上げられている。
が、ロセンデールの首が床に落ちる一瞬、拾いあげた者がいる。マリアだった。
「う…」
人々の間からどよめきが上がる。
皆が知らない間にマリアではなく、マリア=リキュールが復活していた。
「マリア=リキュール、お前、流体ロボットか」
主水が信じられないものを見るように言う。
(続く)
■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(3)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第七章 血闘場(3-2)
「それではお相手申す。ロセンデール殿」
夜叉丸の姿が急に大きくなったような気がした。
「あやつは、霊人間、このおはしら様より預かった人じゃ」
レイモンが小さく呟く。
「ロセンデール、もう後がないぞ」
夜叉丸が呻いた。
「まだまだよな、私はまけぬよ。夜叉丸くん」
「夜叉丸くん、レイモンを見たまえ」
レイモンをシュトルフがつかまえていた。
「君の泣きどころは、レイモンでしょう」
「くそっ、ひきょうだぞ。ロセンデール」
ロセンデールが主水の方へ走り込み、主水の首にサーベルの切っ先をつける。
「夜叉丸くん、君のような、化け物は私が相手にするより、他の人間に相手させます。わたしの柄じゃない。その前に、主水君、君の生命の流れを止めてあげましょう。私一人が死ぬ訳にはいきませんからねえ」
「やめろ」
観戦していた群衆の中から飛び出して来る男がいる。足毛布博士だった。
見る間に主水の体に取り付いている。
「そいつは私の息子だ」
先刻とは顔色が変わっている。
「助けてくれ、お願いだ。変わりに私を殺せ」
主水の上に覆いかぶさり庇う。ロセンデールに対して睨みをきかす。
「おやおや美しい親子の愛情ですねえ。だが、足毛布博士、主水君一人を助けたところで流れは変わりませんよ」
ロセンデールは二人をコバカにしている。
足毛布博士は、ロセンデールのしゃべりを聞きながら、気付かれぬように、主水の胸のある一点を、指で押していた。
嘘のように、主水の意識が回復する。渾身の力がみなぎって来る。どうやら、どさくさに紛れて、足毛布博士は主水の体にある、足毛布博士しか知らぬ回復点を押したようだ。
「足毛布博士、おどきください。あなたを殺す訳にはいきません。あなたはこれからのヨーロッパ奴隷ロボット制確立にかかせない方ですからね。主水君をやれば、後の反乱ロボットは烏合の衆です」
「できるかな、ロセンデール卿」
足毛布博士がにやりと笑い、主水の体から撥ね跳んだ。
主水が、クサナギの剣を力強く掴み、すっくと立ち上がっていた。
「主水くん、き、君は」
あまりのことに驚くロセンデール。
瞬間、ロセンデールに隙が生じる。
「と…っ」
渾身の力を込めて、主水はクサナギの剣を振り下ろす。
クサナギの剣が、ロセンデールの首と胴をみごと切り離していた。
鮮血が飛び散る。ロセンデールの赤い血が、祭壇に花のように咲いたのだ。
そんなばかなという顔を、ロセンデールはしてよろけた。ゲルマンの剣は手からゆっくり離れ、床に突き刺さる。
「ロセンデール、仕留めたり」
主水が叫ぶ。右手高くクサナギの剣が差し上げられている。
が、ロセンデールの首が床に落ちる一瞬、拾いあげた者がいる。マリアだった。
「う…」
人々の間からどよめきが上がる。
皆が知らない間にマリアではなく、マリア=リキュールが復活していた。
「マリア=リキュール、お前、流体ロボットか」
主水が信じられないものを見るように言う。
(続く)
■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(3)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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