私の中の彼へー青き騎士ー第7回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第7回
そう、私、沙織は昔を懐かしく思い出す。
組織ローズバットは、練獄だった。と
そして私の青春の1ページだったと。
むろん、私に青春があったと仮定しての話だが、
「アイズブレット」の中から特に殺傷能力がある思われる少女たちをを集めたのが、ローズバット(ばらのつぼみ)だ。
地球連邦政府は、「アイスブレット」である「ニューオーハン」をずっと分析していた。性格と能力の分析後、里親に預けていたのだ。
●
「こいつらを段せ」
教官の一人は命令した
ローズバット組織の属する訓練施設、巨大なドームの中だった。
訓練期間だった。
最初の研修は終わりをつげていた。
私たちの眼の前に、青い顔をした生気のない人間たちが、十人
呆然と立っている。何か変な惑じだ。
「だって、人間だよ」
チェリー花咲が言った。
「違う。こいつらはもう人間じゃない。アイス側の人間だ。つまりアイスだ。敵だ。おまえたちを孤児にした敵なのだ」
教官は掃き捨てるように言った。
「だって」
「アイスブレッドの注入が、失敗した人間だ。いわば、人間爆弾だ。廃人だ。安らかな死を、与えてやれ。それが慈悲なのだ」
「でも」私達はためらった。
「お前たちがためらうなら。こうだ」
教官はおもむろに銃をとりだし、そいつらを殺そうとした。
次の瞬間、何がおこったのか、私には理解できない。
あの生命のない人間たちの眼に、、怒りがみなぎり、我々を屠ろうと手足を武器として襲って来たのだ。
この闘争訓練用ドームには出口はない。
私たちがこの中に入ると、ドームは完全に密封されたのだ。
そのときは、なぜだかわからなかつたのだが。
私達は戦わざるをえなかった。
教官の銃は辱いとられ、教官に向け発射される。
彼の体はずたずたに吹き飛ばされ、ひきさかれていた。
一瞬の出来事だ、
チェリーや私たちは「こわい」と思った。
教官たちを屠った彼らは、次に私達に目を向けた。
「やめて、やめて、私達は子供だよ」
だが、そいつらは聞く耳をもたない。
私のすぐとなりにいた子が、まずえじきになろうとする。
殺すか、殺されるか。選択の余地はなかった。
二つに一つなのだ。自分が死ぬか、相手を倒すかだ。
すでに講習をうけていた殺人テクニックを使わざるを得ない。
敵は強かった。何しろもう普通の人間ではなくなっていた。
普通の人間だったら倒れるほどの打撃を与えても倒れない。
おまけに、私たちといが武器は与えられていない。自分の体だけか
武器なのだ。
すでに、私達の仲問の何人かが倒されて勤かなかった
それを見て、私の怒りは激化した。
「こいつらを殺してやる」
「沙織、大丈夫」チェリーが叫ぷ。
私の体のどこかにあるギアが、シフトしたようだった。
数分が過ぎて、私が気づいた時には、体じゆうが血まみれだった。
が、私はすっくとそこに立っていた。
他の仲間も、4人をのぞいて、ぼっぜんと立っていた。むろんチェリーも生き残っていた。
ドームの中央フロアには、死体と肉片が、ころかリそこから湯気が立っていた。加えていやなにおいが充満していた。
それは、血と汗と恐怖のためアドレナリンのにおいだ。
それは、この時以降、生涯に何度も味わう事になる臭いだった。
静けさがあたりを覆う。
誰も声がでないのだ。
その静けさを破リ、急に人の声かした。
「よし、第一過程は終了だな」
ドームの上部部分に穴が開き、あのなつかしき、冷静なる私のハンドラーであるゲイター氏が青い目で観察しているのがわかった。
彼らは、ずっと一部始終を冷静に観察していたのだ。
「ゲイターさん、なぜ、私達を助けてくれなかつたの」
「助ける?フフン、沙織クン、これは試験なのだよ。実施試験のひとつだ。そして、ありがたい事に、これが終わった君達が。生きていくための資格を与えられる。私なら喜ぶがねえ」
「でも、あの教官が死んでしまったわ」
「彼ら?今の姿を見てごらん」
死体の間から、教官たちだった者が次々と立ちあがっできている。
「よく、やつたよ、君たち。喝采ものだ」
彼らは本当に私達を祝福している。
「彼は人間じゃなかつたのね、それじゃ敵も」
「いや残念ながら、敵の人間は本物さ」
私たちは、急に吐き気をもよおしていた。
「おやおや、君たち、輝かしい未来がこれから始まるというのに
何てざまなのだね。祝福のときなのだよ」
「ゲイターさん、あなたの恩は忘れないわ」
「ふふ。頼もしい限りだ。君たち。たよりにしているよ。いや君たちが、最後の人類の希望かもしれないなあ」
ゲイターは、青い目でにやりと笑い、私たちを見た。
私の頭の中で何が、カチリとなった。
これが、私の青春の輝かしい最初の1ページだった。
(続く)
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