夢王たちの饗宴ードラッグ戦争の痕でー■第3回 ●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
第3回
キング・オブ・ドリーム-あるいは創造者の夢■
■降下世界(多元夢世界のひとつ)■
踊り場の様なのだが、それがとてつもなく広く続いているのだ。
もう、下へ降りるバーがなかった。
彼は、降りてきた方を見上げてみた。
バーや踊り場が、じゃまになって上の「胎室」を隠してしまっている。
「胎室」は、この世界の住人が生れ落ちた場所のようだ。
彼は横にずっと移動する。仲間の死体が数多くころがっている。
何も存在するはずのない大空間に、巨大なモニターが出現し、
創造主の命令を表示する。
コード111
下ノ世界二到着シタ個体ョリ、チューターヲ、用イ、教育ヲ開始セヨ″
「ジェイ」
彼を呼ぶ声がする。
彼は今まで話をしたことがないので、単に音に反応したといった方がいいだろう。
ジェイは振り返った。
そこにはジェイが今まで見たことのない、
ジェイ達の体とは、まったく異なった姿形を持つ生物がいた。
そいつがジェイに話しかけているのだ。ジェイは思わす、後ずさる。
それにかまわず、銀色の三本足の、そいつは近づいてくる。
「よく降りてこられました、ジェイ。
やっとあなたは下の世界へ辿りつかれたのです」
そいつには頭がなく円筒形の胴体郎から声が流れてくる。
「お前は何だ」
「これは失礼しました。私はチューター。あなたにチシキを与える
ものです。以後お見知りおき下さい」
「そのチューターが、俺に何用があるというのだ」
ジェイは自分自身が、言語を発している事にびっくりしていた。自ら
出す音が、体の中にも響いている。
「本当の事を知ってほしいのです。あなたがおられるこの世界はタワーシップ
と呼ばれるものなのです」
「タワーシップ?」
ジェイは、わけのわからない事をしゃべるこの物体から逃れようとし
た。横に早く移動するのは初めての経験で苦痛だった。
「危ない」
後ろから追ってくるそいつが叫んだ。
(続く)2016改訂●
キング・オブ・ドリーム-あるいは創造者の夢■
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