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新人類戦記第三章聖域第15回 ソビエト超能力戦士元PLOのダレル、ベトナム人のルン、KGBシュチェフキン大尉がフォージャー戦闘機でアコンカグワに向かう

2021年03月18日 | 新人類戦記第3章
新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴスを抜け、ジョバ川をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。アコンカグワにて人類創世の神が復活した。
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新人類戦記第三章聖域第15回 ソビエト超能力戦士元PLOのダレル、ベトナム人のルン、KGBシュチェフキン大尉がフォージャー戦闘機でアコンカグワに向かう
 

新人類戦記 第三章 聖域 第15回

作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)

 

■イギリス領のポートモレスビー港

 

 南西アフリカにあるイギリス領のポートモレスビー港はいまだに炎上していた。消防車

や救急車が、ポートモレスビー全土から集まってきたような錯覚さえおこさせる。多数の

光条が闇の中で交錯している。一大騒音が港を包んでいる、

 

 ソ連船ノブゴロドフ号の艦橋からシュチェフキン大尉は、彼らの行勁を、赤外線望遠鏡

で見渡している。彼はKGBの超能力戦士主任である。

 

 「どうやら、すべて、片付いたようだな」

 「CIAの連中はどうやら、全部爆死しました。が」

 

 横で瞑目していたアラブ人のダレルが言った。

彼は以前PLOのコマンドであった。

 

 「というと」

 

 「日本の情報部の男がまだ生き残っている」

 

 「何ですって、香月か」

  インド糸アジア人のリフは毒づいた。

リフは三重スパイであった。CIAと日本隋報部とソビエトKGBとである。

 

「それにリフ、君は、昨晩、香月につけられたね。それで香月がここまで来ていたのだ。

さらに君の女スンダも死にかかっている」

 

「ど、どういう事ですか、それは」

 

「君の居場所を知るために、香月はスンダをかなりいためつけたようだ」

 「くそつ、香月め」

 リフの顔が怒りでどす黒く変った。

 

 「香月は、市内の病院に収容されるだろう。後始末は君にまかせる。我々は先発する。後

から、君も追いかけて来たまえ」

 

 シュチェフキン大尉は冷たく言った。

 リフは、あわてて、艦僑から飛び出していった。                   

 「長くはない。あの男も。感情に迪されすぎる」

 ダレルのとなりにいたベトナム人の超能力者、ルンが言った。

 

ソ連船ノブゴロドフ号チェコフ船長にシュチェフキン大尉は命令する。

 「よし、チェコフ船長、出航だ。ジョバ川をさかのぽり、ポートモレスビーとビザゴスの

国境で我々はVTOL磯に乗り換える」

ジョバ川は南西アフリカの揚子江にあたり、ビサゴスの首都ボグラまで通じている流通基盤となる大きな川である。

 

 「しかし、まだこの爆発事件を調査中のポートモレスビー政庁から出港許可がおりており

ませんが」チェコフ船長が首を振る。

 

 「同志チェコフ、樋わん。今は一刻の猶予もならん、恐らく。ソビエト大使館への抗議文書で事は

おさまるだろう。何しろ、あれはアメリカ側の事故だからな。我々はヘリコプターが墜落

し、その機体が大爆発をおこしたのしか見ていないと連絡しておけ」

 

 「同志シュチェフキン、我々の船だけが、無事なのはどう説明しましょうか」

「共産主義の御加護があったのだとでもいっておけ同志チェコフ」      

 シュチェフキンの言葉は有無をいわさぬものであった。

 

■ビサゴス国境付近

 

 敬時間後、ノブゴロドフ号は国境線上のジョパ川にいた。

 

 ノブゴロドフ号の後部甲板にVTOL(垂直離着陸機)ヤコブレフーフオージ

ャ-機が3機現われていた。

 シュチェフキン大尉、元OLOのダレル、ベトナム人のルンが各々乗り込んでいた。

 

このYAK36機は英国ハリヤー戦闘機と並んで世界でも珍しいVTOL機である。

滑走路を必姿とせず、垂直に滋着痩できるのだ。

 

 「よし、私とルンはアコンカグワ山ヘ向かう。

ダレルは解放戦線の秘密基地へ行ってくれ。

残りの超能力戦士諸君はノブゴロドフ号が首部ボグラ近辺の解放戦線の

必力囲へ送ってくれるJそこで解放戦線の者達と手をにぎり、

首都を制圧せよ」

 

 シュチェフキンは命令を下した。

 

 三滝はジョット噴射を行い、甲板からバランスを保ちながら、ある高度まで垂直に上昇

し、それから主ジェットエンジン、リユールカALUFを噴射した。

 

 二分たった時点で、ビザゴス空軍のミラージュ戦闘機五機、追尾してきた。ミラージュの

最大速度はマッハ2・2.対してフォージャーはマッハI・3である。明らかにミラージ

ュ戦闘機の方が速度ではまさっていた。

 

「うるさい、ハエどもだ」     

 ダレルは一言うるさそうにつぶやき、念じた。

 

一瞬、ミラージュ全機がバラバラに吹き飛んだ。ダレルの恐るべき超能力であった。

ノブゴロドフ号から見るとそれは歓迎の花火のようにも見えた。

 

 

■ビサゴス共和国 ジョバ川 イデア号

 

 ルンはまたあの声を聞いたような気がした。

魔の山アコンーアコンカグワ山からの呼び声である。

 ルンは頭を振り、それをおい払おうとした。

 

 ポートモレスビーから出発した漁船イデア号はジヨバ川の分析点に辿り着いていた。

 右の方は首郁ボグラヘ向かう川すじで、そしてその北東部の奥地に、魔の山アコンカグ

ワがそびえ立っているのだ。

 

 左へ進めば、大都市はなく、小村落が点在する地域で、解放戦線側の勢力幽である。

 「トルワイユ、船は左へ向けてもらおう」

 ビザゴス海軍将校の服を着たままの解放戦線の戦士、ダマルが言った。イデア号の船足

は原爆三発をクリスチャン号から漬みかえたのでか。なり落ちている。

 

 「ビザゴス海軍の連中がクリスチャン号を発見するかもしれん」ダマルが言った。

 

新人類戦記 第三章 聖域 第15回

作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)



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