宇宙から還りし王(山稜王改題)第12回
(1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
■
ラガナ砂漠に砂嵐がおこっていた。この季節にはいつも砂嵐が吹
いている。
近くの町からは数100h一離れた宇宙省のリハビリテーションセンター
に収容されている人は何かしらいわく因縁があるといわ
れていた。
リハビリテーションを守備している兵士は外に対してではなく、
内に対して警備しているのだ。
ここにはシャナナ宮殿のキメラ獣、アゴルフォスが収容されてい
た。彼は超能力を持つので対ESPバリヤーがはりめぐらされ部屋
にいた。
『アゴルフォス』彼を呼ぶ声がした。
『誰だ、我輩を呼ぶのは』アゴルフォスはベッドから頭をあげる。
声は精神内の声だった。
『お前の近くに収容されている男だよ』
『名前は』
『名前か、名はネイサンだ』
『そのネイサンが、我輩に何の用かおるのだ』
『お前、ここから出たいか』
『あたりまえだ。我輩はこんな場所に居るべき輩ではない』
『ふふ、キメラ獣が何をいうんだ』
『ネイサンとやら、我輩を見くびるではない。我輩はシャナナ宮殿
にいたキメラ獣だぞ』
『あのサイキック帝国にいたキメラ獣というわけか』
『そうだ。もし、このバリヤーさえなければ、我輩のすばらしい能力を見せてや
れるのだが』
『ふふ、所詮は大の遠吠えだ。いいか、アゴルフォス、
もし私がバリヤーをこわしてやったら』
『何だと、お前はただのアストロノーツではあるまい』
『私はネイサン、聞いたことがあるだろう、タイホイザーゲイトか
ら遠ってきた男だ』
『記憶喪失の男か』
『私が単なる記憶喪失の男かどうか』
「ぐわっ」
アゴルフォスはうめいた。頭の中心部がしめつけられるようだ。頭
の中に膨大なデータ、人智を越えた知識が一度に送りこまれた。頭
のラインがオーバーランしそうだ。
アゴルフォスは白眼をむき、だ液を口からたらしている。
鼻血が流れ始める。眼も充血して飛び出
してくる。体のあちこちの血管が皮膚からぼこぼこと浮き出してく
る。血液が沸騰していた。
「や、やめてくれ、発狂する」
『どうだ、アゴルフォス、私がどれ程の力を持つかわかったか』
「わかった。ネイサン、あなたはただの人ではない」
『私を収容室から連れだせ。お前を一緒に連れていってやる』
「このリハビリテーションセンターから出してくれるというのだな」
『そうだ』
「その前に、この部屋のバリヤー装置をこわしてくれ」
『わかった』
アゴルフォスの部屋が振動した。
ほこりが舞う。壁にひび割れがおき、壁面が内側にやぶれ倒れてきた。
壁に埋めこまれていたバリヤーマシンがむきだしになった。そいつが火を吹き出し、爆発する。
瞬間、大声がアゴルフォスに聞こえてくる。
『いいか、アゴルフォス、私の呪縛を解け』
「ぐわっ」
アゴルフォスが咆啼する。長年の拘束から、彼も解放されたのだ。
地球連邦軍によって、ミュータントによる「サイキック帝国が滅ぼされて以来、
初めて自由になれたのだ。体じゅうの筋肉がびゅんとはりつめた。とぎすまさ
れた神経がよみがえってきた。体じゅうに力がみなぎっていた。
『アゴルフォス、早く、私を肋けるのだ。お前の怪力が必要なのだ』
「わかった。どこなのだ」
アゴルフォスの頭の中にネイサンの居る収容室の場所が示された。
アゴルフォスは回廊に飛び出す。兵士が武器を構えていた。アゴ
ルフォスが片手をふりあげる。兵士とアゴルフォスの間は5m程あ
いているのだが。兵士の両手が体からちぎれて飛んだ。血が天井ま
で吹きあがる。更に手を動かす。頭がちぎれて天井にはねあがる。
脳しょうと体液が天井から廊下におちてきた。廊下はまるで死体解
剖室だ。
「ふふっ、久しぶりの快感だ。空気切りの技」
次々と兵士が送られてくる。アゴルフォスはいとも簡単に兵士達
を処理した。回廊はばらばらになった人体の手足や、内臓がころが
っている。
アゴルフォスはネイサンから示された部屋のドフを破壊する。ネ
イサンの収容室へ足を踏み入れた。瞬間、アゴルフォスは水りつい
た。眼がみひらかれる。
「こ、これは何んという」
アゴルフォスは青くなった。
(続く)
■宇宙から還りし王(山稜王改題)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
(1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
■
ラガナ砂漠に砂嵐がおこっていた。この季節にはいつも砂嵐が吹
いている。
近くの町からは数100h一離れた宇宙省のリハビリテーションセンター
に収容されている人は何かしらいわく因縁があるといわ
れていた。
リハビリテーションを守備している兵士は外に対してではなく、
内に対して警備しているのだ。
ここにはシャナナ宮殿のキメラ獣、アゴルフォスが収容されてい
た。彼は超能力を持つので対ESPバリヤーがはりめぐらされ部屋
にいた。
『アゴルフォス』彼を呼ぶ声がした。
『誰だ、我輩を呼ぶのは』アゴルフォスはベッドから頭をあげる。
声は精神内の声だった。
『お前の近くに収容されている男だよ』
『名前は』
『名前か、名はネイサンだ』
『そのネイサンが、我輩に何の用かおるのだ』
『お前、ここから出たいか』
『あたりまえだ。我輩はこんな場所に居るべき輩ではない』
『ふふ、キメラ獣が何をいうんだ』
『ネイサンとやら、我輩を見くびるではない。我輩はシャナナ宮殿
にいたキメラ獣だぞ』
『あのサイキック帝国にいたキメラ獣というわけか』
『そうだ。もし、このバリヤーさえなければ、我輩のすばらしい能力を見せてや
れるのだが』
『ふふ、所詮は大の遠吠えだ。いいか、アゴルフォス、
もし私がバリヤーをこわしてやったら』
『何だと、お前はただのアストロノーツではあるまい』
『私はネイサン、聞いたことがあるだろう、タイホイザーゲイトか
ら遠ってきた男だ』
『記憶喪失の男か』
『私が単なる記憶喪失の男かどうか』
「ぐわっ」
アゴルフォスはうめいた。頭の中心部がしめつけられるようだ。頭
の中に膨大なデータ、人智を越えた知識が一度に送りこまれた。頭
のラインがオーバーランしそうだ。
アゴルフォスは白眼をむき、だ液を口からたらしている。
鼻血が流れ始める。眼も充血して飛び出
してくる。体のあちこちの血管が皮膚からぼこぼこと浮き出してく
る。血液が沸騰していた。
「や、やめてくれ、発狂する」
『どうだ、アゴルフォス、私がどれ程の力を持つかわかったか』
「わかった。ネイサン、あなたはただの人ではない」
『私を収容室から連れだせ。お前を一緒に連れていってやる』
「このリハビリテーションセンターから出してくれるというのだな」
『そうだ』
「その前に、この部屋のバリヤー装置をこわしてくれ」
『わかった』
アゴルフォスの部屋が振動した。
ほこりが舞う。壁にひび割れがおき、壁面が内側にやぶれ倒れてきた。
壁に埋めこまれていたバリヤーマシンがむきだしになった。そいつが火を吹き出し、爆発する。
瞬間、大声がアゴルフォスに聞こえてくる。
『いいか、アゴルフォス、私の呪縛を解け』
「ぐわっ」
アゴルフォスが咆啼する。長年の拘束から、彼も解放されたのだ。
地球連邦軍によって、ミュータントによる「サイキック帝国が滅ぼされて以来、
初めて自由になれたのだ。体じゅうの筋肉がびゅんとはりつめた。とぎすまさ
れた神経がよみがえってきた。体じゅうに力がみなぎっていた。
『アゴルフォス、早く、私を肋けるのだ。お前の怪力が必要なのだ』
「わかった。どこなのだ」
アゴルフォスの頭の中にネイサンの居る収容室の場所が示された。
アゴルフォスは回廊に飛び出す。兵士が武器を構えていた。アゴ
ルフォスが片手をふりあげる。兵士とアゴルフォスの間は5m程あ
いているのだが。兵士の両手が体からちぎれて飛んだ。血が天井ま
で吹きあがる。更に手を動かす。頭がちぎれて天井にはねあがる。
脳しょうと体液が天井から廊下におちてきた。廊下はまるで死体解
剖室だ。
「ふふっ、久しぶりの快感だ。空気切りの技」
次々と兵士が送られてくる。アゴルフォスはいとも簡単に兵士達
を処理した。回廊はばらばらになった人体の手足や、内臓がころが
っている。
アゴルフォスはネイサンから示された部屋のドフを破壊する。ネ
イサンの収容室へ足を踏み入れた。瞬間、アゴルフォスは水りつい
た。眼がみひらかれる。
「こ、これは何んという」
アゴルフォスは青くなった。
(続く)
■宇宙から還りし王(山稜王改題)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/