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源義経黄金伝説■第65回

2016年06月17日 | 源義経黄金伝説

源義経黄金伝説■第65回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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 1199年(正治2年) 鎌倉

「大江広元様、この鎌倉の政権をひぎたくはございませぬか」
磯禅師が告げた。
鎌倉広元の屋敷である。

幕府成立後七年がすぎている、
静の舞からも十三年がすぎている。

大江広元が京都から鎌倉に来てすでに十六年が過ぎ去っていた。

「何を言うか。この鎌倉には、頼朝様が、征夷大将軍に任務じられてとしてお
られる」
「大江広元様、この鎌倉幕府の仕組みを考えられたのは、他ならぬ眼の前にお
られる広元様ではございませぬか」

 大江広元は世の仕組みを作る、言わばフレームワークを行っていた。
また法律という国の根本を考えだし、関東の武士たちに一定の秩序を与えたのは、
頼朝でははなくすべてこの広元の「さいづち頭」から出ていた。

つまり、広元が鎌倉幕府の全システムを考え出していたのである。


「さようでございましょう。王朝が変われば国の統一のために手助けした者、
武将、ことごとく新しい王のために葬り去られましょう」
「が、禅師、俺は武将ではないぞ」

「それゆえ、策略を巡りやすいとの考えもありましょうぞ。中国が三国のと
き、諸葛孔明の例もございましょう」

大江広元は、考える。いかに禅師といえど、この考えは

「禅師、その考え、まさか、後白河法皇様の…」
「いえ、滅相もございませぬ。これは京の公家の方々の総意とお考えください
ませ。よろしゅうございますか、大江広元様。源頼朝様の動きを逐一お教えくだされませ。そして、もし機会があれば…」
「お主たちが、大殿様を殺すという訳か」

「さようでございます。さすれば大江広元殿、鎌倉幕府にてもっと大きな位置を占められましょう」
「それが私にとって、よいかどうか」

「何を気弱な。よろしゅうございますか。頼朝様亡くなれば幕府は、烏合の衆。大江広元様が操ることもたやすうございましょう」
「所詮、北条政子殿も、親父、北条時政殿も伊豆の田舎者という訳か」
 
禅師は、にんまりとうなずいた。

(続く)
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