ロボサムライ駆ける■第31回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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「いかりの長介さんだね」
立ち尽くす主水に、馬車のドアが開いた。
中にいる男がいった。四十からみのにがりばしったいい男である。
「いえいえ、私はけっして怪しいものじゃありません。大黒屋昭八と申します。どうぞ内へお入りください」
「その大黒屋どのが」
「いえ、昼間のお礼でございます。いいですか、『いかりの』さんは死なれた。そう全ロボットデーターベースには打ち込まれているはずです。今夜から、手前どものロボット剣闘士、松前さんになつていただきます」
「ロボット剣闘士ですと」
「おいやなのでございますか」
が、主水はうれしくはない。ロボット剣闘士の試合は人間に見せるためのロボットの潰しあいだ。
「その件について検討したいといっても、許すあなたではありますまい」
「そういうことですな」
大黒屋は主水のシャレに真面に答えた。
機会馬車は、西都市連合の御用商人、大黒屋の家にたどりつく。
かなりの家作である。
大黒屋の富のほどが知れた。
主水が昼間クラルテから助けたのは、御用商人大黒屋の子供、竜之介だった。
この商人大黒屋は、西都市連合政府に顔がきくらしく、お陰でこの商人直属のロボット剣闘士の身分にとりあげられたのだ。
「松前さん、都市連合主催の剣闘士大会に出てみないか」
ある日、大黒屋は急に話を投げかけてきた。大切な話を事もなげにである。
「長介、僕も応援するからね。がんばってね」
側に擦り寄ってきた、息子竜之介が頼もしげに言う。主水が助けた子供である。主水に懐いていた。
「竜之介もこう言っているんですよ。主水さん、ひとつお頼み申し上げます」
「大黒屋さん、その戦いによってあなたも利を得るわけですか」
「えっ、と申しますと…」
「賭けか利権か何かあるんだろう。大黒屋さんが動くからには、、」
「松前のだんな、慧眼ですね。そのとおりです。だからお願いしたいのです」
(続く)
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