CP封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星)第9回●ハーモナイザーの情報端子、アー・ヘブンは、大球と小球コード内を大球にむかい直進していた。ハーモナイザーの敵である「天球」の居場所をよみとり破壊を試みる。
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所
アー・ヘブンは,横たわる北の詩人をながめている。
彼からは、はっきりした「天宮」の位置を読みとれなかった。
彼はその「天宮」の場所を知らないのだ。
闇の空洞だと?
アー・ヘブンはしかたなく、大球と小球をつなぐコード(絆)の内壁ににじりよると、内壁金属に聴覚器をあてがった。
この金属の持つ記憶巣から、「天宮」の情報を読みとれないかと思ったのだ。
壁に聴覚器がふれた一瞬、アー・ヘブンの体は硬直した。
恐るべきデータが一度に脳に流れ込む。
体が震動し、コードの内壁に倒れ込む。
倒れていても、アー・ヘブンの体は痙攣し続けている。
コードの内部は、すでに「天宮」の腕の中も同然なのだ。
コード内には「天宮」の神経系が、くまなく張りめぐらされていた。
その神経系から派生した神経糸が一本、アー・ヘブンの体に鋭く突きささる。
神経糸は蛇の様に、体内に侵入し、ためらいなく体中を突き進む。
神経糸はアー・ヘブンの中央脳を探りあて、アー・ヘブンの正体を知ろうとしていた。
脳部位はどこだ!
神経糸は位置をさがしあぐねていた。
アー・ヘブンには中枢脳がなく、しいていえば、体全体が脳機能を持っている。
アー・ヘブンは、体の中を這い進む神経糸にたいいして、逆に、パルス(波動)を送った。
パルスがたどり着くところ、そこに「天宮」の命令中枢があるはすだ。
一瞬の後、逆にアー・ヘブンは「天宮」の位置を読みとっていた。
『シャフト』
アー・ヘブンは立ちあがると、体につきささっている神経糸を力まかせにひきちぎった。
からまってきていた神経網を引きさく。
アー・ヘブンは、コード内を大球にむかい直進していた。
目ざすは「天宮」の存在するところ、「シャフト」である。
コード内の神経網が急激に膨張し、道をふさぐ。
アー・ヘブンの前進をはぱもうとする。
コード自体も震動している。
「天宮」は、小球とコードを、自分のいる大球から切り放そうとしていたのだ。
アー・ヘブンをコードに詰め込んだまま。
大球とコードの接合部分はすでに切り放され、コードと大球の鉄表が数10m開いている。
危ない所だった。
アー・ヘブンは、コードの内壁を第3触手を使って突き破り、からくも大球の鉄表へ降り立りていた。
切り放されたコードは耳を聾する轟音をあげている。
何かの泣き声の様だった。
コードは小球の方へゆっくりとたぐり寄せられ、ねじ曲がっていく。
何か生き物の断末魔を思わせた。
アー・ヘブンは鉄表の下を透視して身ぶるいをした。
この鉄表下は驚くべきことに、機械の集合体に変化していた。
本来の岩盤はどうなったというのだ。
この機械類はスパイダーネットによって集められた宇宙船の部品だろう。
大球全体が機械惑星と化していた。
内部の地層は天宮が変化させてしまったのだろう。
アー・ヘブンは、この機械類をチェックして、ある事に気づく。
これは危ない。
「天宮」は、何をやりだすかわからない。
全宇宙に害毒をぱらまくつもりかもしれない。機械のすきまを探査する。
そこがシャフトのはずだ。
それにその部分のみ、構成成分が異なるはすなのだ。
「天宮」自体が機械と、そのモノの集合体なのだから。
またそのモノは、、アー・ヘブンと同じ成分を持っているはずだ。
「天宮」の存在するところ、「シャフト」の位置をようやく探し当てた。
怒りという古い感情を思いおこし、鉄表をアー・ヘブンの第3触手でふち破った。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第9回●(1987年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所