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アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー★第15回

2013年05月25日 | アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産
アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー★第15回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

「マンガ家になる塾」 山田企画事務所
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腐敗惑星である腐肉の地表上を、トリニティは歩んでいた。
「何よ。これ、ここが地表なの。ここを歩けというの」
「しかたがないじゃろう」地下羊宮の擬似映像チャクラの声が、服の中にあるモニターから流れてきた。
「お願いだから、羊宮に戻してよ」
「だめなのものはだめじゃ」

 腐肉の大地を歩くのに最初は苦労した。今では何とか、チャクラがトリニティのために
造ってくれた特殊な靴のおかげで、沈まずに歩いていける。
 これまでのあいだ知識生命体にはあわずにいる。存在するのは腐肉を喰べていきている
小動物だけだ。あとはかってロケットや何かのわからぬ機械の残滓の山々。また延々と続
く腐肉の大地。所々にある体液や腐敗液の池だった。あまり遠くを見通すことはできない。 
「あ-あっ、地獄めぐりだわ、もう、いや」
 トリニティはマスクを顔の前につけている。
この大地の臭気を、直接肺の中にすいこんだらむせかえってしまうだろう。あの居心地の
いい地下羊宮チャクラのエアーコンディショニングの中で生長したのだから、ここは確か
に地獄だろう。

「なぜ、こんな所を歩かきゃならないの」彼女は不満を述べている。
 トリニティは何かの大きな骨格をは発見し、その上にすわって考えて始めた。
(一体《禁断の実》なんてどこにあるのかしら。実ってことは木があるわけよね。でも森
林、いえ木なんて見たことがないわ。
 ひょっとして、羊宮チャクラみたいに、地下に生存エリアにあるのかもしれない。でも
どうしたら見つけられるの。
 なぜ、ちゃんと教えてくれないのよ。早く見つけてチャクラのところへ帰りたい。こん
な所もう、うんざり。
 チャクラはそれについて何も教えてくれなかった。それとも《禁断の実》なんて、どこ
にもないのじゃないかしら。それに《禁断の実》を発見してどうしたらいいの。わからな
い事ばっかし。あたしには荷が重いわ)

 何かがトリニティを観察していた。そいつは地下で数百年の眠りからさめたところだっ
た。トリニテイの歩く感触で、そいつは敏感に目覚めたのだ。大きな音をあげてそいつは
地表にたどりつく。
 腐肉の中からようやく出現したそいつは、トリニティの前に顔を向ける。
「あなたは誰」

そいつは、トリニティに叫ぶ。トリニティはこれが地下羊宮チャクラがつくり、逆らった「戦闘16面体」かしらと
驚いている。
(いやよ。まだ心の準備ができていないわ) 地下羊宮チャクラの中枢頭脳は、彼女の視
線と同一化していた。彼女のみたもの、感じたものがすべて脳波となって、チャクラのと
ころへ送りつけられていた。
「しまった。あやつ、まだ生きておったのか」チャクラは独りごちた。
「あなたこそ一体誰なの」トリニティはその生物に尋ねる。


「あなたが先に名乗りなさい。この星では生きている人間など見るのはひさしぶりよ。あ
なたが生きていられる事が、不思議だわ」
「そんな事を言われてもこまる。あたしはトリニティ。チャクラに育てられたのよ」
「チャクラですって」その生物はニヤリと笑ったようだった。
「チャクラならやりかねないわね」
「どういう事なの、それ。それにあなたこそ生物でしょう。なぜこの星で生きていけるの
よ」
「ほっほっほっ、おもしろい事をいう女の子ね。なぜ私が生きているかですって、チャク
ラから聞いていないの」
「どうやら、その顔は聞いていないようねえ。それなら……」

 その生物がしゃべりかけた時、上空から突然、銀色にきらめく物体が降下してきた。
 そいつは自ら浮力を持ち、空間を自在に移動できるようだ。

(続く)20090501改定
作飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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