ロボサムライ駆ける■第24回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第3章(11)
「サイ魚法師殿、なぜしくじったのですか」
ロセンデール卿が、空母「ライオン」の士官室で詰問していた。サイ魚法師は、ロセンデール卿の怒りの前でただただ恐縮しているばかりであった。
「いかんせん、主水の方が強すぎました」
ぼそりと言う。まるで先生に起こられている生徒である。
「強すぎたとですと、それは聞けませんねえ。あなたが、私たちに最初売り込んだ言葉を、お忘れですか。あなたは主水の弱みを握っていると言ったでしょう」
ロセンデール卿の言葉がチクチクとサイ魚法師の体をさす。
「そのとおりです」
「ですが、あなたは主水の始末を東京湾でしくじってしまった。おまけに潜水艦を一隻なくしまった。さらには潜水艦をもう一隻貸せとおっしゃる。何を考えておられるですか」
ロセンデール卿は、美しい顔に怒りの表情を表していた。
急にロセンデール卿の顔は醜くなる。冷たい暗い表情である。
「もうよろしいです。契約は終了です。すでに、主水は我々の手にありますからね」
「何ですと、主水が……」
絶句する法師。顔色が変わっている。
「おや、どうかされましたか」
「いえ、何でもありません。が今どこに」
法師としては自分の手で主水と戦いたかったのである。
「そんなことは、あなたには関係ないでしょう。あなたはもう、おはらい箱です。もうあうこともないでしょう」
着衣のケープを翻してロセンデール卿は、法師の前から去った。
ロセンデール卿の部屋から出て、「こなくそ、今にみておれ、ほえずらかかせてやるわ」 つぶやくサイ魚法師だった。
「が、主水め、一体どこに」
首を傾げるサイ魚法師だった。
サイ魚法師は、本日の都市会議での騒ぎを知らなかったのである。
(続く)
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