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源義経黄金伝説■第69回鬼一方眼との死闘のため、頭や顔は朱に染まり、足取りもおぼつかぬ文覚は、大江広元屋敷の元を訪れている。

2021年10月29日 | 源義経黄金伝説
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第69回鬼一方眼との死闘のため、頭や顔は朱に染まり、足取りもおぼつかぬ文覚は、大江広元屋敷の元を訪れている。
 

源義経黄金伝説■第69回

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■ 1199年(建久10年)鎌倉

 

文覚は、対決の後、しばらくして、広元屋敷の元を訪れている。

 

文覚の頭や顔は朱に染まっている。

足取りもおぼつかぬ。

鬼一方眼の打撃の後がゆっくりと文覚の体をむしばんでいる。

鬼一の八角棒には、やはり丹毒が塗られていた。

 

「大江広元殿、鬼一方眼はワシがあやめた、これで、あやつらの王国、勢いがなくなろう」

文覚は、大江に満足げに言った。

「さようでございますか。それは重畳。しかしながら、いかがなされた。その傷は」

「我のことなぞ、どうでもよい。よいか、大江広元、義行を逃がせ」

「源義行を…、何を言う。気が狂られたか」

 

「よいか、大江広元。私、文覚は、元は武士である。鬼一との約束は守らねばならぬ」

 文覚は息も絶え絶えに言うのである。

 

「皆の者、出て参れ。文覚殿、乱心ぞ」

 

大江広元は、屋敷の郎党を呼び寄せる。

「くそっ、広元、貴様」

 手負いの熊のように文覚は、広元の手の者と打ち合うが、多勢に無勢。おま

けにひん死の状態の文覚は打ち取られる。

「残念、無念。清盛、西行、お前らが元へ行くぞ」

とらえられ、牢につれていかれる文覚が、いまわの際に叫んだ。

 

文覚は,今は亡き好敵手西行の最期を、そして西行から聞いたある話を

思い起こしていた。

 

待賢門院璋子けんれいもんいんたまこは、西行の手を強く握りしめている。

待賢門院璋子は後白河法皇の母君である。

その臨終の席に西行が呼び寄せられていた。

 

「二人の皇子をお守り下され。西行殿。私の最後の願いでございます」

「わかりました、璋子様、この西行の命に変えても」

 

西行は宮廷愛の達人でもあった。この時期日本は宮廷愛の時期である。

 

待賢門院璋子の二人の子供とは、崇徳上皇と後白河上皇である。

 

璋子は鳥羽天皇の間に後白河法皇を生み、鳥羽上皇の祖父である白河法王の間

に崇徳上皇をうんだ。白河法皇は璋子にとり愛人であり、義理父であった。

いわゆる源平の争いは、璋子を中心にした兄弟けんかから起こった。

 

西行は璋子のために終生、2人の御子を守り事を誓ったのだ。

西行は璋子のために、京都朝廷のしくみを守りために、その生涯を捧げた。

西行と文覚は、若き頃、恋いにそまりし王家を守る2人の騎士であった。

 

それでは、文覚は、日本の何を守ったのか。自問している。

 

文覚は若き折り、崇徳上皇の騎士であった。

上西院の北面の武士である。

しかし、文覚は保元の乱の折り逃げ出している。その折りの事を西行はよく知っているのだ、言葉で攻めていたのだ。

 

西行は、いまはのきはに、叫んでいた言葉を思い起こす。

「文覚殿よ、天下は源氏におちたと、、思わぬほうがよい」

「何だと」

「頼朝殿の義父、北条、平時政殿の手におちるかもしれんな」

西行の死に臨んでの予言であった。

 

いにしえ、坂東の新皇と自ら名乗った、平将門まさかどの乱平定に力があ

ったのは、藤原秀郷と平員盛である。藤原秀郷の子孫は、奥州藤原氏、西行の

家などである。

平員盛の子孫が、伊勢平氏と北条氏であった。

 

(続く

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