私の中の彼へ-青き騎士第21回●最終回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■シーン18
私は気づく。
私の今まで、あちこちにドリフト(浮遊する)する精神。
私自身にたいする「精神治癒機構」を、私の精神が、奥底に持っていたのだ。
それが「青い騎士」「翔」。
守護神ではなく、私、沙織の自分自身の精神を安定されるために造りあげたイリュージョン。
想像上の生物、それが「青い騎士」「翔」だったのだ。
このアイス戦争自体が、「私」という悪夢からの脱出行ではなか
ったかと。
「私」自身のアィデンティさがしではなかったかと。
「私」は考え始める。
何が事実で、何が事実でないのか。
結論。
何も確実なものなどこの世には存在しない。
ひとつだけは確かだ。
私、沙織は「地球の意識」だった。
そして私は、私の作り上げたイリュージョン「青い騎士」「翔」を
愛していたと。
「地球よ、あなたは長い夢からさめられましたね」
翔の姿をしたそれは言った。
「そう、長い悪夢だったわ、青き騎士。私は夢から
醒め本来の目的を達成することができるわ」
本当の「アイス」とは私なのだと、私はその時気づいた。
私は急に気づいた。私は二重の意味で。母・殺しなのだと。
一人の母は今のアイスではなかったか。
肉親をあまりににくんではいなかったかと。
が、考えてみると、ここは私のマザーシップなのだ。
『そう、今、あなたが「アイス」にかわり、我々シップを指導す
ることができるのです』
イリージヨンの中で「青き騎士」「翔」が言う。
『それは「地球」を意味するの』
『そうです。マスター。地球も、実は大いなる船なのですから』
私は、地球の全体を覆う意識となり「マスター人民の王」となり、
「地球」という巨大な船を、むかわせようとした。
それは、かつて地球人類の想像した事のない長い長い旅になるだろう。
人類が宇宙創造の旅につくのだ。
「人民の王」となった私はいつも思う。
私の青き騎士「翔」が私を治癒してくれたのだと。
時あらば、私は「翔」を思い出す。
なつかしく、狂おしく思いこがれる。
そう、想いがこがれる。
あの「精神治癒機構」がつくりだした
青き騎士の姿「翔」を瞼の中に。
彼「翔」はあのイリュージュンの中で死に、
私に衝撃を与えてくれたのだと。
そして、そう、私のほほから、いつも涙が流れ落つる、、。
(完 )
飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所090701改訂
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