消滅の光景 第14回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
「ああ、まただ。俺でなくてよかった」
ベッドの中でタルマシロ通り宿屋の主人キムは震えでいた。
通りの真中に寝そべっているミリアム信徒の聞をすり抜け、かき
分けながら、セクター連邦軍情報部のチヒロ中尉は歩いていぐ。
意識は、はっきり覚醒しているのだが、肉体をコントロールでき
ないのだ。叫び声をあげようにもあがらない。
くそっ俺はまるでマリオネットだ。チヒロはそう思った。
チヒロの目の前に段々、塔が近づいてくる。タルマシロ通り町並が消え、そして、人々の
寝姿も見受けなくなる。
塔からは一定の距離を皆、保っているのだ。荒地に出ていた。赤
茶けた砂ぼこりが立らている。
遠くの方からゆっくりとした足音が近づいてぎた。それは、近づ
くにつれロボットの足音だとわかる。ガーディアンでおる。
チヒロ中尉の身長の3倍はあるだろう。複眼がチヒロの方を観察しているよう
でもある。
加えて、もう塔を見上げなければならぬほど側まで寄っている。
心の奥に声がしていた。
超能力少女ラミーの声だ。
「チヒロ、上を見て、もっと上よ」
小型のエア・カーが上空に浮いている。霊科学者カド博士の姿も見えた。
が、いやおうなく塔ヘチヒロは引き寄せられていく。
ガーディアジはエア・カーに気づいたようだ。
逆にひっぱる力が働いてきた。カド博士とラミーの力のようだ。
体がまっ二つに分かれそうだ。どちらの力も強力であった。
急にふっと塔の吸引力が弱まった。チヒロの体の自由が戻ってき
た。チヒロはもんどりうって倒れた。
が、エア・カーがガーディアンの攻撃を受けていた。複眼から光
が放たれた。エア・カーはうまく光線をかわしていたが、ついに捕
まり、エンジン部分が破裂し、急激に落下してくる。
落下の瞬間、ラミーは全員をテレポートしたようだった。エア・
カーは大地,に激突し、爆発した。
チヒロはレイ=ガンを引き抜き、地上のラミーたちの側へ駆け寄
った。
「急に、塔の力がチヒロに影響しなくなったわ、どうしてでしょう」
チヒロが尋ねる前にラミーが言づだ。
ロボットはチヒロ達の方へ敵意をもって歩んできたが、急に上空
を見上げた。
夜空は円盤機に被われていた。いつの間に飛来してきたのであろ
う
一勢に円盤機は地上にいるミリアム信徒の上に爆弾を降り注ぎ始
めた。 ’
ミリアム信徒達は、泣き騒ぐこともなく、爆弾を受け、死に、あ
るいは傷ついていく。
三機の円盤既が塔の方へめがけ飛来してきた。光線を放ちながら、
塔へ,急進してくる。
塔は光線を受けていたが、何の変化もない。
円盤の中から、ホーに乗った滅びの戦士がチヒロ連の方へやっ
てくるのが見える。
「セクター連邦軍はどうしているんだ」
カド博士の助手アンドロイドタクが急に塔目がけて走り出した。
消滅の光景 第14回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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