遙かなる絆-ランナー第13回
地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
●http://www.yamada-kikaku.com/ yamadakikaku2009ーyoutube
■ランナー第13回
数日が経過していた。
地球は。死の天使の暴動のおかげて、各地で火が燃えあかっている。
ロードランナー、ヘルムといえば、マコトを背負って高速度に近い自らの足で、
月へと驀進していた。
がエネルギーか不足し始めている。
地球防衛機構(EDO)テロリストハンター、 サムナーは、ムーン=ウェイの
外壁にぷらさがって数日たっている。
作業ポッドからはい出したのだ。
サムナーの前を、宇宙艇が月へ向かって進んでいくのがみえる。
サムナーの体からは、救難信号が発されている。
船は気づき、サムナーの方へ近づいてくる。
マニュビレーターにより、サムナーの体は艇内へ運びこまれる。
この艇は、地球連邦軍のものだ。
サムナーの様子を見に来た男は地球連邦軍技術将校の制服をつけている。
「何だ、貴様、サイボーグか。ムーン=ウェイにぶらさがっているとは、きさまは何者だ。
作業ロボットではあるまい」
「EDO(地球防衛機構)の者だ」
サムナーは割れた声で言った。
「EDOの者が外壁で、何をしていた」
「それに答える必要はあるまい。軍とEDOとは別組織だからな」
「何! それが助けてもらった者に対する言葉か」
「助けてくれとお願いしたわけではない」
「このくされサイボーグめ」
将校は、サイボーグ公社ナンバーを調べるために、乱暴にサムナーの体にさわろうとした。
「ぐわっ」
サムナーの体は再び、白熱していた。
衝撃で将校の体は吹きとばされる。
「どうした」
船の操縦席からあわただしく男が走ってくる。
サムナーの体はまだ、動けない。
男は、倒れている将校を見て、レイガンを引き抜こうとする。
サムナーの体から超電磁波が流れ出す。
その体は瞬時に黒コゲとなった。
サムナーはほくそえみ、独りごちた。
「ふふ、どうやら、この艇は俺のものになったようだな。それにこの艇は月のメースティングクレーターヘ向かかっているらしい。先に行っているぞ、ヘルム、マコト」
二人の名前を呼んだ。
●
Z89は、軌道内の清掃を目的として作られたロボットだった。
軌道内に異物があった場合、シャトルトレインを危険にさらす事になる。
Z89は異物除去に必要な装置を持っていた。
Z89のセンサーは異物の存在を先程からとらえていた。
これ程大きい異物はZ89にとっても初めてであった。
おまけにそいつらは生体反応かあるのだ。
このような場合、通常Z89は中継ステーションに連絡を取るのだが、
先刻からステーションとは通信がとれなくなっていた。
Z89にとって初めての試練であった。自分で判新しなければならない。
過去のデータからして破壊、もしくは除去すべきであろう。
こうZ89は類推した。
マコトとヘルムは巨大な機械が目の前に現われたのに驚いていた。
マコトはこの機械に交信しようと試みた。が、機械はマコトのテレパシーには
まったく反応しない。おまけに敵意が感じられるのだ。危険だ。
「逃げろ、ヘルム、あいつは軌道内部から、僕達を除去するつもりだ」
Z89は、その四肢をのばし、全軌道をふさぐ大きさに拡大して、二人の行く手を塞いだ。
ヘルムの足は、瞬間停止ができなかった。
加えてマコトのテレポートも一瞬、遅れた。
ヘルムはマコトを背負ったまま、軌道内でZ89に激突する。
ヘルムとZ89の体は共に、激しいショックを受け、反動で吹き飛ぶ。
マコドは軌道に倒れた時、Z89の体内エネルギー構造を読み取っていた。
まだ、ショックで倒れたままの傍らのヘルムに言った。
「喜んでと、ヘルム。このロボットのエネルギーは、君の体に適応するよ」
軌道最後のユニットだった。
これを走り抜ければ、あとはメースチングクレーターの出口なのだ。
その時、重々しい声が上から響いてきた。
「ヘルム君、聞いているかね、私はEDO長官オットーだ。
ごくろうだった。君は驚嘆すべき男だ。我々は偵察衛星をつかい、君たちめ行動をずっとモニターしていた。
さて、今、君がいるこの最後のユtニットの外壁の表面に核融合剤が付着されている。
我々がスイッチをおせば、ユニットもろとも君たちは噴き飛ぶ。」
EDO長官オットーはしばらく黙り、やがて口を開く。
「しかし、ものは相談だ。ヘルム君に提案しよう。おとなしくマコトを我々に渡したまえ、そうすれば君は生きてこのムーン=ウェイから出れる。
恐らく、君がこのムーンウェイを走破したということは
長く記録に残り、世界は君にすばらしい特典を与えることだろう」
「話にならないな。
EDOか何か知らないが、いいか、俺はロードランナーだ。走ることそれ自体が俺の名誉なのだ。
そして俺はこのロードランナーになった瞬間から、あらゆる権力という代物と戦ってきたのだ。
いまさら妥協などできない。たとえ、爆死しようと最後まで走り続ける。それが俺のーロードランナーとしての誇りなのだ」
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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